4連休を迎え、航空業界の旅客需要が戻り始めた。19日は全日本空輸(ANA)の国内線予約数が8万7千人で今年度の最高を更新、日本航空(JAL)も約8万人に達した。新型コロナウイルスの感染拡大のペースが緩やかになり、利用者心理の改善が追い風になっている。

連休初日の19日の羽田空港は朝から旅先に向かう人々でごった返した。夫(43)と長女(1)の3人で宮崎県の実家に帰省するという千葉県野田市の会社員の女性(42)は「お盆は旅行していいか分からなかった。コロナとは長い付き合いになりそうだし、冬はインフルエンザも流行する。行くなら今だと思った」と話す。感染リスクが高まる「3密」を実家で避けるため、「Go To トラベル」を利用し宮崎県内のホテルや旅館で親と過ごす予定という。

福岡市内に単身赴任する夫に約半年ぶりに会いに行くという横須賀市の看護師の女性(58)は「7月ごろから行ける時期を探っていた。今月に入り感染者数が2桁や100人位になったので、行けるうちに行こうと思った。空港に人が多く驚いた」と話した。

ANAによると1日の旅客数が8万7千人を超えるのは2月28日以来約7カ月ぶり。お盆のピーク(1日当たり6.2万人)も大幅に上回った。

需要の盛り上がりに合わせ機材の大型化を中心に供給座席数を増やした。4日間で約2万3000席と小型機換算で約140便分の席数を確保。連休初日は羽田発の下り便の利用率が97.2%と、ほぼ満席だった。

同日取材に応じたANAの井上慎一専務は「8月中旬以降徐々に予約が右肩上がりで来たところで、9月11日に(Go To トラベルの)東京追加の方針が示され勢いがついた」とした上で「この動きを確実にするためにも、感染防止に気を引き締めていきたい」と話した。

19日はJALもグループ全体で予約数が約8万人、予約率は約7割と好調だ。羽田―新千歳線などは満席便がみられ、連休最終日の22日も19日と同程度の予約状況という。(井沢真志)
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