米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)は13日、インドのモディ首相とオンラインで会談し、今後5〜7年で同国に約100億ドル(約1兆円)を投資すると表明した。新設するファンドを通じて現地企業への投資やインターネット関連のインフラ整備に充てるとしている。米国外への投資としては異例の規模となる。

ピチャイ氏は「インドのデジタル化を実現する」と述べ、同社の強みである人工知能(AI)を医療や教育、農業などに活用していく考えを示した。ネットにアクセスできる人を増やし、検索などのサービスもヒンディー語などインドの多言語に対応させる。

モディ政権は新型コロナウイルス拡大を防ぐための都市封鎖で経済が打撃を受ける中、外国からの投資を呼び込もうとしている。米大手企業にとっても13億人超のインド市場は成長性が大きい。巨大市場ながら中国は規制やハイテク摩擦の影響もあり米IT(情報技術)勢は開拓で壁に直面している。代わりに投資が加速しているのがインドだ。

アマゾン・ドット・コムは25年までにインドの中小企業向けに10億ドルを投じる。フェイスブックは印大手財閥リライアンス・インダストリーズ傘下の通信会社に57億ドルを投資した。

インドは国境の係争地で摩擦を抱える中国を締め出す動きもあり、米企業の拡大余地は増えそうだ。インド政府は4月、「国境を接する国」からの投資は政府による認可が必要とし、従来の「自動認可」から規制を強化した。中国企業からインド企業への投資を実質的に制限する狙いがある。6月末には動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」など主に中国系企業が手がける59アプリを禁止した。
2020/7/13 20:32 (2020/7/14 5:34更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61463630T10C20A7MM8000/