総務省は12日、楽天モバイルが開発したスマートフォンの対応周波数について、同社が無断で認証と異なる設計に変えた疑いがあると発表した。電波法に基づき同社に詳しい報告を求めた。無断変更などが確認された場合、同法違反で楽天は端末の販売中止や回収を迫られる可能性がある。

楽天は4月から携帯電話事業で商用サービスを始めた。韓国サムスン電子やシャープが製造する端末のほか、独自開発の小型スマホ「楽天ミニ」を販売している。5月以降に製造した楽天ミニについて、自社の通信網で利用していない周波数への対応をやめた一方、米国など海外で使われる周波数を追加したという。楽天は「対応できる周波数の数に上限があり、仕様を変更した」と説明している。

総務省によると、対応する周波数が勝手に変更されると、混信などで電波の質が落ちる場合がある。このため携帯電話は発売前に周波数や出力などの設計について、第三者機関から認証を受けなければならない。設計を変える場合は認証を申請し直さないといけないケースが多いという。

楽天は一部ユーザーからの指摘を受けるまで、周波数の変更を公表していなかった。総務省はこれまでも楽天に対し、一時的に電波がつながりにくくなる通信障害などで複数回、指導している。消費者の信頼を失う行動が続けば、通信事業の先行きは厳しくなる。
2020/6/12 18:33 (2020/6/13 5:27更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60309040S0A610C2EA4000/