アルゼンチン、9度目のデフォルト 債務交渉は継続
2020年5月23日 6:10 (2020年5月23日 7:39 更新)

【サンパウロ=外山尚之】アルゼンチンが22日、同日が支払期限だった5億ドル(約540億円)規模の国債の利払いをせず、6年ぶり9度目のデフォルト(債務不履行)が確定した。債権者団との債務再編交渉で合意できなかった。両者は6月2日まで交渉を継続するが、合意できるかは流動的だ。低迷する経済に新型コロナウイルスが追い打ちをかけた。

アルゼンチン政府は4月から国債の利払いを止めており、22日午後6時(日本時間23日午前6時)が利払い猶予期間(グレースピリオド)の期限となっていた。アルゼンチン政府は国債を保有する米欧の機関投資家との債務再編交渉について、グレースピリオド中の決着を目指していたが、3年間の支払い猶予を求めるアルゼンチン側と、期間の短縮を求める債権者団が折り合えなかった。

3つの債権者グループに分かれる中、米ブラックロックやフィデリティなどで構成する債権者団は22日、交渉延長に応じると発表。ほかの債権者団も交渉継続には前向きで、当面、訴訟には進まないとみられる。

アルゼンチンの外貨準備高は約430億ドルで、当面の利払いの余力は十分にある。しかし、アルゼンチン政府は今回の交渉を通じ総額660億ドル規模の複数の国債をまとめて再編する計画を立てていた。延長期間中に合意できればデフォルトは解消されるとして、あえて支払いを拒んだ。

今後は政府側と債権者側がそれぞれどこまで譲歩できるかが焦点となる。米ブラックロックなどで構成する債権者団は元本や利払いの削減について、当初の提案から譲歩する姿勢を見せている。一方、声明では「この1カ月、アルゼンチンは事実上、債権者団と実質的な関与をしてこなかった」として、アルゼンチンに譲る姿勢がないことを非難する。

左派のフェルナンデス大統領は19年の大統領選で対外債務について「払う必要が無い」と述べて当選したため、「現在の債務は持続不可能だ」として強硬な態度をとる。延長期間中に歩み寄れなければ、債権者側が交渉を諦め法廷闘争に移るリスクも残る。2001年のデフォルトでは、米ファンドとの泥沼の法廷闘争を招いた。

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