財務省が9日発表した1月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を表す経常収支は6123億円の黒字となった。黒字額は前年同月比6.6%増だった。内訳をみると外国との投資のやり取りを示す第1次所得収支の黒字が4.8%増の1兆8476億円となった。とくに直接投資収益が21.5%増の8749億円と伸びが目立った。

一方、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は9851億円の赤字となり、前年同月(9700億円の赤字)よりも赤字幅が拡大した。輸入が液化天然ガスや通信機を中心に減少したが、それ以上に輸出の落ち込みが大きかった。自動車や建設用・鉱山用機械の輸出が縮小した。

サービス収支は1627億円の赤字(前年同月は1497億円の赤字)となった。海外に対し、コンサルティング費用や研究開発費の支払いが増えたとみられる。

ただ、訪日外国人の消費から日本人の海外旅行での消費を差し引いた旅行収支は2669億円の黒字と、前年同月比22.5%増となった。訪日外国人数の減少(同1.1%減)より、出国日本人数の減少(同4.9%減)のほうが大きかった。新型コロナウイルスの影響は、1月時点では統計に影響が出ているか判断が難しいという。

2020/3/9 10:55
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56550290Z00C20A3EAF000/