一方、問題はいまなお事業化できていない初号機のM90だ。これまで5度の納入延期を繰り返している。
現在は20年半ばの納入開始に向けて量産を始めたほか、商用運航に必要な型式証明(TC)の取得の手続きをめざしている。
だが、TC取得を左右する最終的な試験機体は当初予定していた今年6月の完成からずれ込んでいる。
配線などの分野で部品の調達遅れが出たことなどが影響しているもようだ。
三菱航空機は「全体の開発計画への影響はない」という姿勢を貫いているが、「スケジュールはかなり厳しい」(幹部)
との声もある。
6度目の延期となった場合は三菱重工の将来の業績への影響も大きくなる。
M90は国内では全日本空輸(ANA)が最初の顧客になっているが、納入遅れを受けて代替機種の調達を余儀なくされている。
今後は遅延による補償も問題になるとの見方がある。
三菱重工は三菱航空機を通じてスペースジェットに6000億円超の開発費を投じてきた。
M90の受注は現時点で約400機。M100の現時点での見込み受注が上乗せされれば約500機となるが、
黒字化するには「1500機ほど販売しないといけない」(三菱重工小口正範CFO)