→現金給与総額は0.8%減の26万4435円と2カ月連続マイナス
→1月の実質賃金1.1%増から0.7%減に修正、標本入れ替え影響

厚生労働省が5日に発表した2月の毎月勤労統計(速報)によると、物価の影響を除く実質賃金は前年同月比1.1%減と2カ月連続のマイナスとなった。市場予想は0.8%増だった。

  名目賃金にあたる1人当たりの現金給与総額は0.8%減の26万4435円と2カ月連続で減った。市場予想は0.9%増だった。このうち定期給与は0.2%減、特別給与は34.2%減。総実労働時間は0.6%減った。前年の調査対象と同じ共通事業所で比較した名目賃金の「参考値」は前年同月比0.5%増だった。

  同時に発表した1月分の確報では、現金給与総額が0.6%減、実質賃金は0.7%減となり、速報の1.2%増、1.1%増からそれぞれ下方修正された。

  厚労省は1月に30人以上規模の事業所の標本の部分入れ替えを実施。1月は入れ替え前後の両方の事業所を調べており、新旧事業所の結果を比較したところ、現金給与総額ではマイナス2532円(マイナス0.9%)、 定期給与ではマイナス1576円(マイナス0.6%)の断層が生じていると説明している。

2月の毎月勤労統計の概要はこちらをご覧下さい
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  総務省が同日発表した家計調査では、2月の消費支出(2人以上の世帯)が実質ベースで前年同月比1.7%増と3カ月連続のプラスとなった。増加率は市場予想(1.9%増)を下回った。

□エコノミストの見方
東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミスト:

・速報から確報にかけてこれだけ所定内賃金が下方修正されている。結構大幅な標本入れ替えをしないとこういうことは起きない。プラスで今まで1%を超えていた数字が下落すると、連続性の意味でどうなるかと。これまでの統計が全く信用ならないということになってしまう
・有効求人倍率が1.63などとなっているので、賃金はある程度上げないといけないが、一方で女性、高齢者の就業も同時に拡大している。今後外国人労働者がという話になってくると思うので、一人当たりに払う賃金は案外上がっていない可能性はある
・アベノミクスの唯一の成果としては失業率の低下、有効求人倍率のバブル期超えがあるが、賃金には残念ながら波及しておらず、賃金の上昇を伴った物価上昇に結び付いていない。このまま行くと賃金上昇を伴わない消費税増税に進む
(1月確報などを追加して更新。更新前記事は「2カ月連続」に訂正済みです.)

2019年4月5日 8:36 JST
更新日時 2019年4月5日 10:30 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-04-04/PP9UKI6S972801