PythonのIDE「PyCharm」の開発元であるチェコJetBrainsは、企業や個人でPythonを使っている世界2万人以上の開発者を対象に実施した実態調査「Python Developers Survey 2018」の結果を発表した。Pythonの利用が全体として伸びる中、Pythonをデータ分析に使っている人が最も多かった一方で、Web開発、テスト、自動化など従来からの用途も堅調だった。

回答者の84%はPythonをメインの言語として使っていた。Python以外に使っている言語で最も多かったのはJavaScriptで50%、次に多かったのはHTML/CSSで47%だった。Webアプリケーション開発でPythonが引き続き大きな役割を果たしていることが分かる。インターネットで公開するWebサイトのほか、社内向けアプリケーションや、Web技術をフロントエンドに使うデスクトップアプリケーションの開発(例えばElectronとの組み合わせ)にも使える。

 Pythonのバージョンに関しては、Python 3を使っている人が84%、現在もPython 2を使っている人が16%だった。Python 3の内訳は、Python 3.6が54%、3.7が30%、残りが3.5や3.4などだった。

Python 3の利用は2013年から年々着実に増えているが、一部のユーザーは2020年のサポート終了までPython 2を使い続けることが考えられる。今回の調査では、Python 2にとどまっている理由までは尋ねていない。レガシーコードが多いからなのか、組織上の要件なのか、それとも単に開発者の好みなのかは不明だ。

 Pythonの用途を尋ねる複数回答の設問では、Web開発が52%を占めて2位だった。その中で中心的な用途を1つだけ挙げてもらうと、Web開発が27%でトップとなった。使用しているWebフレームワーク(複数回答)は、Flaskの47%とDjangoの45%が群を抜いて多かった。

 近年Pythonとの結び付きが特に広がっているデータ分析を複数用途の1つに含めた回答者は58%で最多だった。使用しているフレームワークやライブラリ(複数回答)の上位は、NumPyが62%、Pandasが51%、Matplotlibが46%、SciPyが38%だった。機械学習を複数用途の1つに含めた人は38%。使用しているフレームワークはTensorFlowが25%で最も多く、使用しているビッグデータツールで最も多かったのはApache Sparkで12%だった。

このほか、Pythonの登場以来ずっと結び付きの強い用途も引き続き上位に入り、DevOps/システム管理/自動化スクリプト作成が43%、Webパーサー/スクレイパー/クローラー作成が37%、ソフトウエアテスト/自動化テスト作成が32%だった。それぞれの用途に使うツールやライブラリで目立つのは、Jenkins/Hudson(25%)、Ansible(20%)、Requests(53%)、Pytest(46%)だった。

 開発環境のOS(複数回答)は、Linuxが69%で最も多かったが、Windowsも47%に上った。ただしこの調査結果では、Windows上で直接Pythonを使っている人と、Windows Subsystem for Linuxを使っている人との比率は分からない。とはいえ、Windows上でのPythonの使い勝手も、近頃のバージョンのPythonでかなり改善された。IDEに組み込んで使える拡張機能の強化もプラス材料だ。PyCharmだけでなく、米MicrosoftのVisual StudioやVisual Studio Codeも、Pythonの開発に使える。

 今回の調査結果では、使用しているIDEやエディタで最も多かったのはPyCharm Professional Editionの20%だった。また、PyCharm Community Editionも15%で第3位に入った。JetBrainsが関わった調査であるだけに当然だ。第2位はVisual Studio Codeで16%。開発者らに広く受け入れられていることや、Pythonへの対応の充実度を考えると意外ではない。Visual Studio CodeのPython拡張機能は、Microsoft自身が手がけている。
https://tech.nikkeibp.co.jp/it/atcl/idg/14/481542/020800598/