2019年1月8日 18:08 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO39766180Y9A100C1916M00

LINEは8日、医療事業に参入すると発表した。医療サービス大手のエムスリーと共同出資会社を設立し、対話アプリを使った医療相談や診療を手掛ける。月間7800万人の利用基盤を生かし、医療サービスの利便性を高める。アプリ上に生活関連サービスを集約させ、使用頻度を高めてもらう狙いもある。

新会社のLINEヘルスケア(東京・新宿)を4日付で設立した。資本金は1億7000万円で、LINEが51%、エムスリーが49%を出資した。社長にはLINEの室山真一郎執行役員が就任した。

エムスリーは医療関係者の専用サイトを運営しており、27万人の医師と16万人の薬剤師の会員基盤を持ち、医療関係者の専門サイトの運営や医師相談サービスなどを手掛けている。エムスリーのノウハウを生かし、対話アプリを使って医療に関する質問やオンライン診療をできるようにする。

まず、2019年中に自宅などからオンラインで医師に相談ができる遠隔健康医療相談サービスを始める。エムスリーの会員の医師が対話アプリを通じて相談に応じる。病気になる前に気軽に医師に相談できる環境を整え、日常生活の実態に基づいた医療を実現する狙いもある。今後は、処方薬の宅配サービスやアプリで病院の予約機能なども検討する考えだ。

対話アプリの世界市場の勢力図はほぼ固まったとされ、LINEは海外進出よりもアプリの利用頻度を高めることを重視する戦略にカジを切っている。18年には損害保険ジャパン日本興亜と提携して保険事業に参入したほか、エン・ジャパンと組んで転職情報サービスも始めた。