もともと、成長の仕方がおかしい都市だった。

流入人口だけが異常に膨らんで、ヒトの流出が極端に少ない。
普通、大都市というものは入って来る人間も多いが、そのぶん出ていく人間も多い。
ヒト・モノ・カネが流出入を繰り返し、代謝することで経済成長が促される。
出ていく人間がいないということは、それだけ鉄道・バス・飛行機の交通機関が儲からないし、
それに伴う食費など諸経費も計上されない、ということ。
ヒトの移動だけでも充分な経済効果が表れている。
だから、大都市の人口は「微増」がもっとも望ましい形になるのである。

しかし、この国のマスコミや識者は、ヒトが増える=成長だと思い、例え地方の人口は減っても
東京周辺だけは人口が増えていると提灯記事を書くだけで、何ら危機感の提唱もしてこなかった。
テレビでもネットでも、そういった記事につられて多くの人間が「東京だけは大丈夫」だと思い込んで
やはり危機感を持たなかった。
国民全体が、「日本の人口減ってるけど、東京は増えてるし何とかなる」という甘い認識でいた結果の事象にすぎない。