→金融当局がある時点で利上げを休止するとの観測高まる
→利上げ停止なら政権や市場の圧力に屈したとの批判浴びる恐れも

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パウエル議長 Photographer: Chip Somodevilla/Getty Images North America
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、2019年以降の利上げに特に慎重となる公算が大きい。それは、これまでの利上げの効果が顕在化するまでには時間的な遅れが伴う点を認識していなければ、景気の落ち込みを引き起こしかねないためだ。

  パウエル議長の最近の発言から判断する限り、議長はこうしたリスクを十分意識していると考えられる。

  パウエル議長は11月28日、ニューヨークで行った講演で、「金融当局による漸進的な利上げの経済的効果は不確実で、完全に顕在化するには1年ないしそれ以上かかる可能性がある」と述べた。このコメントを受けて、当局が早めに利上げキャンペーンを休止するとの観測が高まり、株価の大幅上昇をもたらした。

  米金融当局は18、19両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で今年4回目となる利上げを決めると広く予想されているが、来年の道筋はもっと不透明だ。
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  JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は利上げに関し、「政策効果発揮までの時間差についてよく耳にするようになっており、住宅市場の低調なデータと合わせて見た場合、当局がある時点で休止を望むという確率がやや高まるのではないか」との考えを示した。ただ同氏は来年4回の米利上げを見込んでいる。

  ただ、金融当局が利上げを一時停止することにはリスクも伴う。利上げ打ち止めを求めるトランプ大統領や、株式市場の投資家の圧力に当局が屈したの批判にさらされる恐れがあるためだ。

  実際、ムニューシン財務長官はCNBCに対し、トランプ大統領はパウエル議長の先月28日の発言が気に入ったと語った。
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  パウエル議長が今後の金利の方向性を策定する上で取り組まなければならない時間差には2種類ある。1つめは議長がニューヨークでの講演で言及したように、金利の変化が経済に影響を及ぼすまでしばらくかかるというものだ。

  もう1つは、金融当局がコントロールする短期金利が、金融状況全般に影響するようになるまでの時間だ。この側面はそれほどよく知られていないが、経済に一段と大きな意味を持つもので、やはり重要性が高い。

  金融状況が引き締まり始めたのはごく最近だが、そうなり始めたことで、市場は「極めて急激かつ非線形」の動きを示す可能性があると、国際通貨基金(IMF)のトビアス・エイドリアン金融資本市場局長は11月15日、ワシントンでの会議で指摘した。同局長は、誰もが常に「緩やかな」動きを望んでも、それがかなうことはないと考えられるとコメントした。
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2018年12月6日 14:44 JST
Bloomberg
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