10月上旬、腕時計世界大手のシチズン時計はアメリカの時計大手フォッシルグループと、スマートウォッチの分野で技術提携を行うと発表した。シチズンの戸倉敏夫社長は提携発表時に「スマートウォッチ市場のリーダーとなることを目指す」とコメントした。

今回の提携でシチズンが注力するのは、「ハイブリッドスマートウォッチ」という分野だ。外見はアナログ腕時計だが、Bluetooth(ブルートゥース)による通信でスマートフォンなどと連携できるというもの。すでにシチズンが発売したモデルには、電話やメールの着信を針の動きによって伝える機能などが搭載されている。

 アナログ腕時計のムーブメント(駆動機構)においてシチズンは世界トップクラスの生産規模を誇り、世界最薄腕時計を生み出すなど技術力でも高い実績がある。アナログ腕時計を基盤としたハイブリッドスマートウォッチはこれまでの同社の強みを生かせるとの狙いもある。

■止まらないアップルウォッチの成長

 しかし、このフォッシルとの提携発表やハイブリッドスマートウォッチの存在を、伝統的な時計メーカーの”悪あがき”とする冷ややかな見方も出ている。ある国内証券のアナリストは「スマートウォッチを展開していったとしても、シチズンのような既存の腕時計業界が縮小するスピードは減速しないだろう」と指摘する。この発言の念頭にあるのが、米アップルが手掛ける「アップルウォッチ」のような”腕時計の形をしたウエアラブル端末”だ。

 2015年に初代が発売されたアップルウォッチは、昨年世界で1800万台が出荷され(調査会社カナリス調べ)、1つのモデルとして「世界で最も売れた”腕時計”」(時計業界関係者)ともいえる。米オンライン調査会社のスタティスタは、2017年10〜12月期のアップルウォッチの出荷台数がスイス製腕時計の台数を上回ったと指摘している。

 そもそも腕時計は携帯電話やスマホの登場により、移動先で時間を知る手段としての絶対的地位を失った。実際、市場規模は縮小の一途をたどっている。さらに腕時計型ウエアラブル端末が成長し、時間を知る以外の利便性が認知されてきたため、機能面でも従来の腕時計は見劣りするようになった。
以下ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181111-00248106-toyo-bus_all