2018年10月11日 16:59 日本経済新聞
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO36369100R11C18A0000000

日本では女性が男性よりアプリのインストールや課金に積極的――。国内のスマートフォン(スマホ)などのアプリ使用動向についてのこんな調査結果を、独ベンチャー企業のアジャスト(ベルリン市)などが10日発表した。日本のアプリ市場はインストールまでにかかる事業者側のコストが他国より高いが、課金に踏み込むユーザーの割合は高いという。

性別による分析では、国内のアプリのインストールは67%が女性によるもので、男性の2倍だという。サービスへの登録に至る割合は男性が61.9%に対し女性が75.5%で、アプリ内で課金する割合は男性2.5%、女性3.4%とそれぞれ女性が13.6ポイント、0.9ポイント高かった。

その結果、ユーザー獲得にかかる広告などの費用は登録までに39%、アプリ内課金までに56%男性の方が女性より高いという。調査ではゲームなどのアプリ開発で女性をターゲットにしたものが増えている要因にこうした背景があると分析している。

端末の基本ソフト(OS)別の分析では、米アップルの「iOS」とグーグルの「アンドロイド」の利用者のアプリ使用動向を比較した。iOSユーザーの方がアプリ内課金やサブスクリプション(定額購入)に導きやすい一方で、アンドロイドユーザーはダウンロードしたアプリを開く回数や利用時間が長い傾向がある。インストールから課金を促すまでの広告コストはiOSが15%低く、定額サービスではアンドロイドの半分以下だという。

アプリをインストールしてもらうまでのコストは日本は5ドル50セント(約620円)で世界平均の2倍。使う価値を感じないアプリの使用はすぐにやめる傾向があるという。一方で利用が定着したアプリでは課金に至る割合や継続率が他国より高いのが特徴。同調査では「日本のユーザーはアプリを選ぶ目が肥えているが、収益化の可能性も高い」と分析している。

アジャストはスマホアプリの使用動向や広告の効果を分析するツールを提供する独ベンチャー企業。調査では同社とスマホアプリ向けマーケティングサービスを提供する米リフトオフモバイル(カリフォルニア州パロアルト市)が、両社の顧客から2017年8月から1年間取得したデータを分析した。