2018/12/26
学歴と人生の格差(6) 学校は「格差生成装置」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39332770V21C18A2SHE000/
学校は、同年に生まれた人を多様な労働力に振り分け、公的なラベルを貼って社会に送り出す働きをしています。
その際、育った家庭ごとの不平等があるのは問題ですが、学校教育には公的に認められた「格差生成装置」
としての役割があり、学歴による格差がなくなることはないといってよいでしょう。
格差を是正するために、みんなが大学に行けるようにすればいいという平等主義の主張は、
一見すると聞こえはよくても、差異化と人材配分という学校教育に必須の役割への目配りを欠いています。…

…日本の学歴が上下半々に二分している状況は変わらないため、大卒者と非大卒者層の間で交流や入れ替えが
行なわれることが不平等をなくすための唯一の方法です。…

しかし今、大卒層同士が結婚する学歴同類婚の傾向は明瞭で、大卒女性(短大を含む)の夫の約71%が四大卒男性です。
さらに子どもに大卒以上の学歴を望むという親は、大卒層で78%、非大卒層では56%です。…
結局、大学進学志向の強い大卒家庭で育てられた子どもたちは大学に進学し、やがて大卒同類婚をして、
生まれた孫たちも大学に進学していくのです。…

2018/12/27
学歴と人生の格差(7) 若い非大卒層に不利な状況
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39383070W8A221C1SHE000/
新成人から還暦までの現役世代は立ち位置の異なる人々で構成されています。その特性を知るため、
現役世代を男女と若年・壮年の生年世代で分け、さらに大卒と非大卒の学歴分断線で分けてみます。
すると今、日本社会を支えている6200万人の人々を8つのセグメントに分けることができます。
全国調査によってそれぞれの生活実態を見たとき、気になるのは若年層の内部に生じている分断です。
特に若年非大卒層、とりわけ男性が不利な状況に置かれています。…

まず、若年非大卒女性の経済的な基盤が、大卒層と比べて脆弱なことが目を引きます。
若年で社会に出た彼女たちは約7割が既婚ですが、10人に1人はすでに離別しています。
ところが彼女たちの子ども数は平均1.32人で、若年層の中では群を抜く多さです。
ちなみに若年大卒女性は既婚率が低く、子ども数はわずか0.91人です。つまり、少子化に抗する
うえで実質的な貢献が大きいのは若い非大卒女性なのです。そして経済的基盤が脆弱な彼女たちに
子育てを任せていることが、豊かな先進国の日本で子どもの貧困が指摘される理由なのです。
一方、若年非大卒男性をみると、月当たりの就労時間は大卒男性とほぼ同じですが、個人年収は
約322万円で大卒層より50万円程度少なくなっています。そして転職経験が多く、非正規率も高めです。…
その結果、社会的活動に消極的であり、既婚率も約5割と高くありません。…