韓国サムスン電子は10日、日本の東芝と競合するNAND型フラッシュメモリーについて、最新の3次元化技術を駆使した量産を開始したと発表した。記憶素子を90層以上、立体的に積み重ねる技術で、生産効率は3割高まった。NANDの世界市場で首位固めを狙うが、市況のリスク要因になる可能性もある。

 スマートフォンやサーバーの記憶媒体として使われるNANDの生産については、3次元化が主流になっている。東芝や韓国SKハイニックスは記憶素子を60〜70層程度積む水準にとどまっており、メモリー各社が技術面でサムスンに追随する傾向が強まっている。

 サムスンによると、最新技術で量産されたNANDは、データの伝送速度が4割速くなる一方、動作電圧は3割小さくなる。高性能サーバーやスーパーコンピューターの需要を見込む。

 ただし、サムスンが高容量NANDの出荷を増やせば、IT(情報技術)企業などはNANDを大量に買わずに済むようになる。価格が下落基調にあるNANDの市況が、一段と軟調になる恐れがある。
2018/7/10 18:36
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3282565010072018FFE000/