経済の好調さの表れとして、ある兆候が見られる。裕福な個人や企業が中古のプライベート(ビジネス)ジェットを購入し始めているのだ。

米ドルフィン・キャピタル・マイヤーズの経営者でパイロット免許を持つスティーブン・マイヤーズ氏は、何年も前からジェット機を購入したいと考えていた。だが、数カ月前に売りに出ている機体数が減少したことに気づき、即座に米セスナのビジネスジェット「CJ2」の購入を決めた。

「CJ2に関していえば、待っていたら契約条件はもっと悪くなっただろう」と同氏は語る。

2008年以降の不況期に企業がコスト削減のため出張を減らしたことから、プライベートジェット業界は苦境に追い込まれた。先の好況期には価格が跳ね上がり供給過剰の状態だったが、景気後退を受け、中古機の価格は目のくらむような勢いで下落した。

だが今、事業の拡大や法人税率の引き下げを受け、買い手らが市場に戻り始めている。オバマ前米大統領はプライベートジェットの使用に批判的だったが、豪華なプライベートジェットの代名詞とされてきたトランプ米大統領は、同業界に友好的とみられている。

価格は好況期と比べれば低いままだが、何カ月も「売り出し中」の中古機を目にすることはもはやなくなった。米銀JPモルガン・チェースによれば中古機の平均希望小売価格は今年4月、前月比1.5%上昇し970万ドル(約1億円)に達した。5月にはさらに2.4%上昇したが、それでも15年第3四半期と比べれば約25%低いという。