シャープは6月、スマートフォンの「AQUOS(アクオス)R2」など2機種を発売した。昨年から通信3社に提供するブランドを共通化するなどの戦略で国内スマホのシェア2位を獲得し、新製品投入で地位固めを目指す。だが、ほかの国内メーカーが次々と撤退したという面もあり、世界を席巻する中国や台湾のメーカーも日本でのシェアを広げようとしている。シャープ製スマホの正念場はこれからだ。(藤谷茂樹)

 動画と写真を同時に

 シャープが5月8日、東京都内で開いたスマホ新製品発表会。お目見えしたのは、新製品「アクオスR2」と「アクオスセンスプラス」の2機種だ。

 R2の特徴は、動画専用と写真専用の2つのカメラを備えたこと。それぞれに最適な設定を備えた。動画撮影中に人工知能(AI)が被写体の動きを分析し、シャッターチャンスを逃さずに写真を撮る機能も搭載。インスタグラムなどSNSに動画や写真を載せるニーズに対応した。

 一方、センスプラスは、利用者が通信会社を自由に選べる「SIMフリー」として、格安スマートフォン向けに展開する。

 市場調査会社のMM総研によると、平成29年度の国内スマホ出荷台数で、シャープは409万4千台と前年度比46.2%増で、シェアは12.6%に達した。ソニーモバイルを0.1ポイント上回り、iPhoneの米アップル(49.9%)に次ぐ2位となっている。

 シャープは昨年、通信会社によって違いがあったブランドを統一。3大キャリアと呼ばれる大手通信3社だけでなく、値段がお手頃なSIMフリーの機種も出し、「全方位戦略」(MM総研)を取った。

 シャープ通信事業本部の中野吉朗本部長代行は「ブランドの統一で認知度が向上し、商品力の強化で安心して買ってもらえる国内メーカーの商品だと理解してもらえた」と分析。スマホの生産、部品調達などでも親会社、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と連携を強めており、新製品2機種で勢いをさらに加速させたい考えだ。

 海外メーカー虎視眈々

 ただ、ガラケーと呼ばれた携帯電話から20年、国内でアップルのiPhone登場でスマホに切り替わるなかで、三菱電機、日立、東芝、NECといった国内メーカーが携帯電話事業から次々と撤退していた。

 日本市場に空白地帯が生まれているなかで、それを埋めようとねらうのは国内メーカーだけではない。シャープが4位に滑り込んだSIMフリー機種だが、そのトップは中国の華為技術(ファーウェイ)、2位は台湾のASUS(エイスース)だ。

 さらに世界シェア4位まで浮上した中国の新興メーカー、オッポが今年2月、日本進出したばかり。日本法人のオッポジャパン、マーケティング部のチャールズ・タン本部長は「日本は電子製品の聖地。日本に進出することでブランドイメージの向上にもつながる」と力を込める。

 オッポはSIMフリー機種から進出しているが、3大キャリアを通じての供給にもねらいを定める。
以下ソース
2018.7.9 06:30
https://www.sankeibiz.jp/business/news/180709/bsb1807090630001-n1.htm