B一番分かりやすい事例が税である。

消費税が導入されたのは1989年度である。この年の税収は56兆円だった。

それから27年が経過した2016年度の税収も56兆円である。

バブル崩壊から30年の時間が過ぎようとしているが、日本の国税収入はこの27年間、まったく増えずにきたのである。

しかし、この27年間に日本の税収の内訳は激変した。

どう変わったのかと言うと、

所得税 21.4 → 17.6  −3.6
法人税 19.0 → 10.3  −8.7
消費税  3.3 → 17.2 +13.9
(単位:兆円)
というように変わったのだ。

税収全体が変わらぬなかで、所得税が4兆円、法人税が9兆円減った一方で、消費税だけが14兆円も増えたのだ。

これは1年あたりの数値だから、10年間では、消費税の増税規模は140兆円、法人税の減税規模は90兆円ということになる。

日本の国民は完全に騙されている。

日本財政が危機にあり、社会保障制度を守るために消費税増税が必要だと信じてきた国民が圧倒的に多いのではないか。

しかし、税収の規模は全体としてまったく増えていないのだ。

消費税増税のお金は、そのすべてが、所得税減税と法人税減税に充当されてきたというのが、偽りのない真実なのである。

どこが財政再建のための増税、社会保障制度維持のための増税なのか。

完全にウソ八百なのだ。

この間、企業収益は史上最高を更新し続けている。

経済全体がまったく成長しないなかで、労働者の所得は激減している。

その一方で大企業の収益だけが史上最高を更新し続けているのだ。