全国の国税局が強制調査(査察)し、2017年度に処理した163件の脱税の総額は、16年度比16.1%減の約135億円だったことが14日、国税庁のまとめで分かった。統計を開始した1972年度以降、3番目に低い水準となった。

 海外の資産や取引、電子メールなど膨大な電子データを調べるのに時間がかかり、処理件数も16年度の193件からダウン。それに伴い脱税総額も減ったとみられる。

 163件のうち悪質性を考慮して検察に告発したのは113件で脱税額は計約100億円(平均約8900万円)。このうち1件は告発後の捜査で不起訴処分とされた。

 告発案件を業種別で見ると建設業の26件が最多。不動産業10件、人材派遣業5件などが続いた。

 17年度以前に告発した案件も含め、検察庁が起訴して17年度中に一審判決が出た143件は全て有罪だった。実刑判決を受けたのは8人。査察案件単独では過去最高の、懲役7年6月を言い渡された人もいたという。
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