これを言っても健全財政論者は、政府債務の累積はいずれ金利の暴騰を招くと警鐘する。
確かに、銀行が国債ではなく他の資産を購入すれば、国債の金利は上昇するだろう。
しかし、銀行が国債よりもリスクが高い資産を購入するようになるということは、景気が回復していることを意味する。
そうなれば、もはや財政赤字の拡大は必要ない。
そもそも、景気を回復させるのが目的で、財政赤字を拡大させるのである。
財政赤字の拡大による金利上昇を懸念することは、景気回復を望まないと言っているに等しい。

逆に言えば、総需要不足による不況、すなわちデフレである限り、政府債務の累積による金利の急騰は考えられないということである。
実際、2000年代以降、デフレ下にある日本は政府累積債務の増大にも関わらず、長期金利は世界最低水準で推移しており、2016年にはマイナスを記録しているのである。