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(説明図)
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京大が新たに樹立した人のES細胞
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京都大学は22日、再生医療に使う人の胚性幹細胞(ES細胞)を7月にも企業や大学などに
配布すると発表した。不妊治療で余った受精卵からES細胞を作り、提供できる体制が整った。
ES細胞はiPS細胞と同様に様々な臓器や組織の細胞に育つ。ES細胞の治療研究も国内で進めば、
再生医療の応用に弾みがつきそうだ。
京大はiPS細胞を備蓄し、国内の大学や研究機関などに配布している。末盛博文准教授は「ES細胞は
再生医療の新たな選択肢になる。iPSと比較検証することで、安全性や有効性の向上に貢献できる」と話す。
大学や企業、研究機関の申請を受けてから配布する。すでに企業などから数件の問い合わせがあるという。
大学には1株3万円、企業には同6万円で配る。提供を受けた機関は臨床試験(治験)などに使う。
効果が確かめられて国の認可を受けた後は、企業や医療機関が備蓄して治療に使うことも可能だ。
ES細胞は受精卵から作るため、倫理的な懸念が指摘されており、国内では基礎研究に限られていた。
2014年に国は指針を改めて治療を目的とした研究利用が可能になった。
京大の末盛准教授らは不妊治療で余り廃棄する予定だった受精卵からES細胞を作った。ウイルスなどが
混入しないよう管理しており、ES細胞を増やして備蓄する。受精卵の提供者から同意を得ており、
企業が営利目的で使うことも可能だという。
海外では、米国や韓国などでES細胞を使った再生医療の臨床試験が始まった。目の難病の加齢黄斑変性の
再生医療では、約40件の実施例があり、安全性と効果の検証が進んでいる。脊髄損傷や糖尿病の治療でも
臨床試験が実施されている。