日本経済新聞 2018/5/15 19:46
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30538280V10C18A5LKA000/
吉野線を走る観光特急「青の交響曲」
https://www.nikkei.com/content/pic/20180515/96958A9F889DE1E2E7E1EAE0EAE2E3E7E2E7E0E2E3EA9E9993E2E2E2-DSXMZO3053824015052018LKA001-PB1-3.jpg
橿原神宮前駅には狭軌と標準軌が併存する
https://www.nikkei.com/content/pic/20180515/96958A9F889DE1E2E7E1EAE0EAE2E3E7E2E7E0E2E3EA9E9993E2E2E2-DSXMZO3053826015052018LKA001-PB1-3.jpg

 近畿日本鉄道は15日、車輪の間隔を変えることで異なる幅の線路を走行できる「フリーゲージトレイン」
(軌間可変電車、FGT)の研究開発に着手すると発表した。京都駅から吉野駅(奈良県)の区間に
導入したい考えで、実用化すれば同区間が乗り換えなしの1本で結ばれる。6月22日付で
FGT開発推進担当の役員を置き、国土交通省や車両メーカーと協力して研究開発を進める。

 FGTを巡っては、国交省が整備新幹線の建設のため、新幹線を在来線の線路で走行できるよう
開発を進めてきた。現在は九州新幹線の長崎ルートへの導入を目指しているが難航している。
こうしたなか、在来線間に導入するFGTの研究開発は国内では近鉄が初めてとなる。

 鉄道車両を製造するグループ会社、近畿車両の吉川富雄常務が6月22日付でFGT開発推進担当として
近鉄の取締役を兼任する。研究開発費や導入予定時期は未定だ。

 近鉄は複数の鉄道会社をM&A(合併・買収)してきた歴史があり、路線によって標準軌
(レール幅1435ミリ)と狭軌(同1067ミリ)の2種類が混在する。東海道新幹線の開業をきっかけに
京都や名古屋から奈良や伊勢志摩などの近鉄沿線の観光地に向かう特急の路線網の構築を進めてきたが、
レール幅の混在が弱点になっていた。

 FGTを実用化できれば、特急が運行する全路線の直通運転が可能になり、利便性が大きく向上する。

 今回FGTの導入を検討する京都線は奈良電気鉄道が前身で標準軌、吉野線は吉野鉄道が前身で
狭軌を採用している。京都から吉野に向かうには橿原神宮前駅で乗り換えが必要になっており、
その人数は1日1万人にのぼる。

 近鉄にとって吉野は伊勢志摩と並ぶ重要な観光拠点。2004年には吉野山を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が
世界遺産に登録されている。毎年桜の季節は乗降客数が1日1万〜2万人にのぼり、インバウンド客も
増えている。

 大阪方面からは大阪阿部野橋駅から吉野駅までが狭軌のため、観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」が
直通運転をしている。


(続きは記事元参照)