財務省が10日発表した2017年度の国際収支速報によると、日本が海外との貿易や金融取引でどれだけ稼いだかを示す経常収支は21兆7362億円の黒字となり、16年度比で3.4%増えた。経常黒字額は14年度以降4年連続で前の年度を上回った。世界景気の回復や円安を受け、企業が海外子会社から受け取る配当などの伸びが目立った。

経常収支の黒字幅は過去3番目の大きさだった。16年度に引き続き20兆円の大台を超え、リーマン・ショック前の07年度(24兆3376億円の黒字)に迫る水準に回復しつつある。

17年度の経常黒字の増加は、企業の海外子会社の稼ぎなどを示す第1次所得収支の伸びの影響が大きい。第1次所得収支は19兆9105億円で、16年度から6.3%増えた。世界経済をけん引する米国やアジア、欧州などの成長率が上向き、日本企業の海外子会社の業績が好調。子会社から得る配当金などが増えた。

円相場が対ドルで前の年度に比べて2.3%安い水準で推移し、ドル建て資産の円換算額を押し上げた。

輸送や旅行、金融といった取引の収支を示すサービス収支は6029億円の赤字で、赤字幅は過去最小となった。サービス収支のうち、旅行収支は過去最大の黒字(1兆9325億円)。訪日外国人観光客数が16年度よりも約2割増え、外国人が日本で使うお金が増えた状況を反映した。

貿易収支の黒字額は4兆5818億円で、20.8%減少した。原油価格が円ベースで2割超上昇し、輸入額が増えた。

財務省が同日発表した18年3月単月の経常収支は3兆1223億円の黒字だった。前年同月に比べ4.2%増加した。
2018/5/10 11:19
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30294960Q8A510C1MM0000/