【ワシントン=鳳山太成】米連邦通信委員会(FCC)は17日、国内の通信会社に対し、安全保障上の懸念がある外国企業から通信機器を調達するのを禁じる方針を決めた。対象企業は今後詰めるが、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の中国大手2社を念頭に置く。中国政府のスパイ活動に使われることを警戒する。激しい貿易摩擦を抱える米中の新たな火種となりそうだ。

FCCが全会一致で決めた新規制は、全国に通信回線を普及する目的で設けられた同委員会の補助金を使う通信会社が、安保上の懸念がある外国企業の製品を買うのを禁じる。企業など一般から意見を募って禁止対象の企業や製品を確定し、その後に規制を導入する。

FCC高官は「華為技術と中興通訊の2社が候補だ」と明言する。米議会は2012年、2社の通信機器が中国政府のスパイ活動に使われる恐れがあるため米国企業に使わないよう求めた。国防総省は既に2社からの調達を禁じられている。

AT&Tなど大手通信会社は自社の通信網に華為技術などの製品を組み込むことを避けてきた。安い中国製品を使っている地方の中小通信会社が影響を受けそうだ。

FCCのパイ委員長は「敵対的な外国勢力は通信機器に仕掛けたバックドア(裏口)を使ってウイルスを侵入させ、米国人から情報を取ったり基幹インフラを攻撃したりできる」と述べ、規制の意義を強調した。

米国の政府や議会は中国のIT(情報技術)企業に対して安保上の懸念を深めている。商務省は16日、米国企業に対し、イランや北朝鮮に米国製品を違法に輸出したZTEとの取引を7年間禁じると発表した。
2018/4/18 4:15
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29518200Y8A410C1000000/