就職支援大手のディスコ(東京・文京)は16日、2019年卒業予定の国内の学生を対象にした就職希望企業ランキングを発表した。航空業界や総合商社が上位に入った。グローバル事業を展開しているとの評価が人気を押し上げたとみられる。一方で、トップ5の常連だったメガバンクは軒並み順位を落としており、ディスコは採用抑制の方針などが影響したとみている。

調査はディスコが運営する就職情報サイト「キャリタス就活」に登録する大学3年生や大学院生を対象に、就職希望企業を選んでもらった。17年12月1日から18年3月21日まで実施し、5671人から回答を得た。

 1位の日本航空は前年の4位から順位を上げたほか、全日本空輸も3位に入った。2位に伊藤忠商事、6位に三菱商事と総合商社も根強い人気をみせている。航空業界は学生から「グローバルで事業を展開している」などの評価が多く、国内外の様々な拠点で働くチャンスが大きいとみる学生が多いという。

 順位を上げた企業ではメーカーが目立つ。トヨタ自動車は昨年の12位から、5位に順位を上げた。昨年31位だったソニーは11位、33位だったデンソーは19位に上昇した。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの技術革新を背景に、「特に理系の学生からの人気が高まっている」(キャリタス就活編集長の駒形一洋氏)という。

 一方で、メガバンクでは昨年1位だったみずほフィナンシャルグループは17位、昨年5位の三井住友銀行は14位に下げた。これまでメガバンク3社とも毎回上位5位に入っていたが、今年は三菱UFJ銀行のみだった。

 特に女子学生からの人気に陰りが出ている。女子学生ランキングでは、三井住友銀行は17位(前年8位)、みずほは24位(同1位)に下げた。メガバンクは業務のデジタル化に伴い、採用を抑制する方針を打ち出している。駒形氏は「一般職志望の女子学生からの選択が大幅に減った」と分析する。

 ディスコは海外の大学で学ぶ日本人留学生向けにも同様の調査を実施。トップはプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)。グーグルやアマゾンといったIT(情報技術)企業のほか、コンサルティング企業がトップ10に入った。国内の学生ランキングの上位10位には外資系企業は入っておらず、よりグローバルな環境で働けるかどうかを留学生は仕事選びの軸にしている。

 19年卒の大学生の就活は3月1日に企業説明会が始まった。人手不足で企業の採用意欲は高く、学生優位の売り手市場の就活が続く見通しだ。

順位 ランキング
1(4) 日本航空
2(7) 伊藤忠商事
3(3) 全日本空輸
4(2) 三菱UFJ銀行
5(12) トヨタ自動車
6(9) 三菱商事
7(6) サントリーグループ
8(8) 東京海上日動火災保険
9(13) 資生堂
10(11) JR東日本
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29439030W8A410C1EA2000/