元早稲田大学教授植草一秀メルマガ・第2018号 1%が99%勢力を支配するための五つの詐術2018年4月16日(無断コピペ)

@安倍内閣が退場を求められる主因は、この政権が国民生活の改善、浮上を実現していないことにある。

より正確に表現するなら、安倍内閣が国民の生活を第一に位置付けていないことが問題なのだ。

国民生活を改善させようとしているが、結果的に国民生活が改善していないのと、そもそも、国民生活の改善を目指していないのとでは意味が異なる。

安倍内閣は「アベノミクス」を掲げて、「アベノミクスが成功した」と宣伝しているのだが、「アベノミクス」で何がどのように変わったのかが大事であり、その具体的成果が問題なのだ。

安倍首相がアピールするのは、

名目GDPが増えた。
有効求人倍率が上昇した。
雇用者数が増えた。
企業収益が拡大した。
株価が上昇した。

であるが、これだけでは、国民生活が改善したのかどうかが分からない。

雇用者が増えて、有効求人倍率が上昇したのは、たしかに良いことではあるだろう。

しかし、労働者にとって一番大事なことは実質の賃金が増えるのかどうか。

労働者としての身分の安定性が増したのかどうかである。

これらの質的な側面を考慮すると、アベノミクスは主権者国民に恩恵をもたらしていない。

安倍内閣の下での日本経済全体のパフォーマンスは非常に悪い。

経済成長率の単純平均値は+1.5%にとどまっている。これは、民主党政権時代の+1.8%をも下回る数値である。

民主党政権時代の日本経済は極めて低調だった。

東日本大震災があり、原発事故もあった。

あの低迷していた時代よりも、さらに悪いのが第2次安倍内閣発足後の日本経
済の実態なのだ。

経済政策を評価する出発点は経済成長率の実績であるが、この中核においてアベノミクスは完全に落第点なのである。

労働者=生活者=消費者=市民=主権者にとって、最重要の経済指標は言うまでもない。実質賃金の変化だ。

この実質賃金が第2次安倍内閣発足後に約5%も減少した。

国民の生活レベルは確実に落ち込んだのである。

あの、あまりパットしなかった民主党政権時代でさえ、実質賃金指数はおおむね横ばい推移だった。

それが第2次安倍内閣発足後に5%も減少した。

アベノミクスは国民生活の視点から見れば、完全に落第なのだ。

その一方で、大企業の利益は史上空前の高水準に達している。

株価は上昇したが、株価というのは400万社ある日本の法人のなかのたったの4000社の利益を反映するものでしかない。

経済を映す鏡の存在ではなく、0.1%の上澄み企業の収益を映す鏡でしかないのだ。