自民党は3日、総務会を開き、働き方改革関連法案について審議した。同日中の法案了承を見込んでいたが、中小企業への配慮などを求める声が相次ぎ、了承を見送った。公明党は同日午前の厚生労働部会などの合同会議で、法案を了承した。政府は6日にも法案を閣議決定し国会に提出することを目指しているが、自民党内の合意が遅れればずれ込む可能性がある。

 安倍政権は働き方改革関連法案を今国会の最重要法案に位置付けているが、厚生労働省のデータ不備問題などが響き法案提出がすでに想定より1カ月以上遅れている。法案には残業時間の上限規制や同じ仕事に同じ賃金を払う同一労働同一賃金を盛り込む。

 与党の法案審査では、残業規制が人手不足の中小企業の経営に打撃になるとの慎重意見が多く、了承まで時間を要している。厚労省は労働基準監督署による指導の際に中小企業への配慮を付則で定めるなど、法案を修正した。

 政府は同法案に「裁量労働制」の適用業種拡大も盛り込む方針だったが、厚労省の調査に不備が見つかり、撤回した。今後の国会審議では、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給」の創設が焦点になる。野党は「残業代ゼロ法案」として導入に反対している。

2018/4/3 9:40 (2018/4/3 13:20更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO28920370T00C18A4EAF000/