NTTは14日、次世代通信規格「第5世代(5G)」のネットワークを部分的に共有できる技術を開発したと発表した。消費者向けの光通信サービスで使われる仕組みを応用した。低コストで5Gのインフラを構築できる可能性がある。

 開発した技術は、5G基地局と通信設備を設置した通信ビルを結ぶ光回線を、複数の基地局を結ぶ回線として共有できるようにする。消費者向けの光通信サービスで使われる「PON」という1本の光回線を共有する仕組みを応用する。

 PONは光回線に「スプリッター」という装置を挟みこみ、最大32回線に分岐する。消費者向けの光通信サービスはPONを活用し、複数の利用者が回線を部分的に共有することで、コストを抑えている。

 PONはデータ送信までの遅れが数ミリ(ミリは1000分の1)秒ほど発生する。5Gでは通信の遅れを1ミリ秒以下に抑える必要がある。NTTは光回線と5Gの基地局装置を連携させ、遅れを0.1ミリ秒以下に抑えることに成功した。

 NTTは同技術を、情報通信の国際通信規格をつくる国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門に提案した。現在、通信機器大手などと標準化の議論を進めているという。

 携帯電話事業者が基地局設備を設置する場合、NTTなどから未使用の光回線「ダークファイバー」を1本ずつ借りるケースが多かった。5Gは従来よりも基地局が多くなると予想され、基地局と通信ビルを結ぶダークファイバーが不足する恐れがある。開発した技術は課題を解消し、携帯電話事業者がコストを抑えて5Gのインフラを設置できる可能性がある。
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