受信契約を拒むホテル運営会社(東京)に対し、NHKが受信料の支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は9日、会社側の上告を棄却した。ホテルに置くテレビの受信料約620万円の支払いを命じた一、二審判決が確定した。

事業者に対する受信料の支払い訴訟で、最高裁判決が出るのは初めて。

最高裁大法廷は2017年12月、個人に対する訴訟で、契約を義務付ける放送法の規定を「合憲」と初判断。契約成立の時期について「裁判でNHK勝訴が確定すれば成立する」と結論づけた。

9日の判決は大法廷判決を踏まえ、「契約の義務はない」とした会社側の主張を退けた。

一、二審判決によると、会社は東京都や群馬県で3つのホテルを経営し、13年8月までに客室と食堂、サウナに計約280台のテレビを設置した。NHKは同10月に受信契約を申し込む通知を送ったが、契約に応じなかった。

NHKによると、ホテルなどの事業者との訴訟は1月末時点でほかに23件あり、20件はNHKの勝訴や事業者が支払いに応じる形で終結した。残る3件は係争中で、このうちビジネスホテル大手「東横イン」との訴訟では一審判決で約19億円の支払いを命じられた東横イン側が控訴している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26758220Z00C18A2CR8000/