想通貨取引所のコインチェック(東京・渋谷)は28日未明、不正流出した仮想通貨「NEM(ネム)」について保有する約26万人全員に対し日本円で返金すると発表した。総額約460億円。大半の通貨の出入金や売買の中止は続いているが、今後も仮想通貨交換業者としての登録を目指す方針も明らかにした。

補償する金額はNEMの取扱高が最も多いテックビューロ(大阪市)が運営する仮想通貨取引所「Zaif(ザイフ)」のNEM価格を参考にする。売買停止後の出来高の加重平均である1XEM(XEMはNEMの取引単位)=約88.5円で返済額を計算。総額5億2300万XEM分を顧客に返済する。返済原資は自己資本を使い、補償時期や手続きの方法については検討中とした。

 コインチェックは26日未明に不正アクセスにより、顧客から預かるほぼ全てのNEMが流出した。同日午後に全ての仮想通貨と日本円の出金を停止し、ビットコイン以外の仮想通貨の売買も中止している。流出時の総額は約580億円だったが、その後の値下がりで返済額は少なくなった。

 コインチェックは流出したNEMについて原因究明を続ける一方、セキュリティー対策の強化を検討している。改正資金決済法に基づく仮想通貨交換業登録については「継続的に取り組む」と明らかにした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2624142028012018MM8000/