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2018年01月06日
筑紫 祐二 : 東洋経済 記者

「このままでは、20年後の大規模修繕計画を乗り切れない」

東京都江戸川区にある築10年、160戸のマンションで理事長に就任した山本雄一さん(仮名)は、人知れず焦燥感を抱いていた。

高齢化の進展でクルマを手放す住民が増える一方、若者のクルマ離れで新たに駐車場を借りる住民は減っている。このためマンション内の駐車場で空きが目立ち始めているのだ。

空き駐車場は住民のサイフの問題になる

山本さんのマンション敷地内には機械式立体駐車場が54台分設置されているが、すでにうち15台が空いている。

今から20年後に迎える大規模修繕計画では、立体駐車場をリプレースする費用として約2億円弱が予定されている。一方、このマンション内の駐車料金は平均で月2万7000円。このまま手をこまぬいていれば、年間490万円近くの収入が不足する。20年間では9800万円も不足する計算だ。駐車場収入の一部は月々の管理費にも充当されているため、収入不足はそっくり将来の駐車場の更新費用不足となる。

つまりこのままでは、20年後に駐車場の更新だけで住民1戸当たり60万円超の一時金が必要になるというわけだ。大規模修繕計画は十数年前に立てたものであり、現在の人件費高騰や資機材値上がり分はもちろん、消費増税分も考慮されていない。これからさらに駐車場の空きが増えれば60万円では確実に足りない。

だが、駐車場が空いているかどうかはクルマを所有していない住民は気づきにくい。また、空き駐車場が将来のマンション、ひいては自分たちのサイフの問題に直結していることに思いが至らない人も多い。
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