0001みつを ★
2017/12/30(土) 10:36:26.27ID:CAP_USER12月29日 19時16分
記録的な不漁となっているサケについて、日本では人工授精で生まれた稚魚を放流することでしか漁獲が保てないと考えられ、国を挙げて「ふ化放流」が続けられてきました。ところが、高齢化で放流が減っている川などの8割余りでサケが自然に産卵していることが研究機関の調査で分かり、「ふ化放流」のみに頼らない資源回復の可能性を示す形となっています。
日本ではサケを養殖並みに増やすため人工授精させて稚魚を川に放流する「ふ化放流事業」が国の制度として続けられていて、治水工事などで産卵できる川が少ないことからこの取り組みがなければ漁獲が保てないと考えられてきました。
しかし本州では高齢化などからふ化場の閉鎖が相次ぎ放流が減り始めている場所もあるため、サケが減ってしまうと懸念する声があがっています。
このため国の水産研究・教育機構が秋田県から富山県にかけての全長が5キロ以上ある94の川すべてでサケの生態を初めて調べた結果、8割を超える川で海から戻ったサケが自然に産卵していたほか、ふ化放流事業が行われていない小規模な川でも7割余りで産卵が確認されました。
この結果は「ふ化放流事業」のみに頼らずに資源を維持できる可能性を示す一方、今回の調査では、川に「せき」などがあるためにサケが川を上れずに産卵場所を奪い合い卵が死んでしまう現象も確認され、自然産卵の課題も浮かび上がっています。
水産研究・教育機構の飯田真也主任研究員は、「放流していない川にこれだけのサケが上ってくることに率直に驚いた。自然産卵を妨げる要因を取り除くことで、サケを増やす方策を検討したい」と話しています。
自然産卵への期待と課題
サケの漁獲量が減り続ける中、従来からの「ふ化放流」に加えて「自然産卵」を増やすことで、サケの数を2倍に増やせる可能性があるという試算もあります。
産卵のため日本に戻ってきたサケは8割から9割が沿岸で食用として捕らえられ、残ったサケも川を上る途中で「ふ化放流事業」のために多くが捕獲されるため、日本では自然産卵で生まれたサケはほとんどいないと考えられていました。
ところが、水産研究・教育機構の森田健太郎主任研究員が北海道の8つの川で「耳石」と呼ばれるサケの頭の組織から自然産卵で生まれたかふ化放流されたかを調べた結果、平均すると川に上ってくるサケの5尾中の1尾は自然産卵で生まれたものとわかりました。捕獲を免れたサケが自然に産卵したと見られています。
森田研究員の試算では、現状でふ化放流をやめると稚魚の数が減り、日本に帰ってくるサケが数十年で絶滅してしまう一方、自然産卵とふ化放流を同時に行えばサケの数を2倍に増やせる可能性があるということです。
その一方、北海道ではふ化放流事業に必要なサケの数が「計画数」としてあらかじめ決められていますが、実際にはこの10年で計画数の2倍余りが捕獲され、繁殖に利用されずに加工品などに回されています。
森田研究員は、「ふ化放流に使わないサケを自然産卵させれば稚魚の放流を1.5倍に増やすのと同じ程度の効果が見込まれる。稚魚だけでなく親も放すことが大切だ」と指摘しています。
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