経団連が来春、韓国・ソウルで、現地の大学生を対象にした日本企業の就職セミナーを開くことになった。就職内定率が97%に達し、複数の企業から内定をもらう学生が当たり前の「超売り手市場」という日本の人手不足対策の側面もある。だが、実際には、韓国の若年層の高い失業問題を韓国経済界が“解決”できず、経団連に泣きついてきたのが実情のようだ。うまくいくのだろうか…。

 「日本は人手不足となっている。この雇用の問題で協力できないか」

 このほど、東京で開かれた経団連と韓国の経済団体「全国経済人連合会(全経連)」との会合。全経連の許昌秀(ホ・チェンス)会長はこう呼びかけた。

 許氏は、経団連の榊原定征会長ら日本の大企業のトップに対し、「日韓の協力をより進化させ、ウイン・ウインの関係を作っていきたい」とあいさつ。同時に強調したのが、韓国経済の先行き不透明感で、その象徴として示したのが、「韓国では若者の失業問題が深刻になっている」ことだった。

 つまり、日本企業に韓国の若者の雇用を引き受けてほしいと求めたのだ。

 これに対し、日本側からは、日本企業が実施するインターンシップなどに、韓国の大学生が参加している事例も示された。

 日本企業が韓国の大学生を採用することで、日本の人手不足解消につながり、韓国の就職難の解決が進むとして、日本企業が韓国の大学生を採用する就職セミナーのアイデアに進んでいった。来春には、ソウルで、日本企業による韓国の大学生を対象にした就職説明会が開かれる予定だ。

 日本企業に就職して、日本で働くケースだけでなく、現時点では中途採用が大半となっている日本企業の韓国支社や韓国法人などで、韓国人の新卒採用を増やす考えだ。また、中には総合商社などで、韓国子会社が新卒学生を雇用し、日韓とは別の第三国の駐在員にする案も出ている。

大半とみられる日本で働くケースでは、日本語が大きな障壁になる可能性も高いが、これを問題視しない成功事例も出ている。

 日本のある大手人材派遣会社では、企業の情報システムの構築や保守、メンテナンスなどを丸ごと請け負うアウトソーシング(外部委託)事業で、韓国人エンジニアを大量に活用している。

 もともと、韓国ではインターネット環境が日本よりも整備されていることからITリテラシーは高いし、英語力も高い。顧客との交渉は、日本人のグループリーダーや日本語を理解できる韓国人エンジニアが担当し、その後の韓国人エンジニアへの指示などは英語を活用していくことで、問題は起きず、欧米スタイルでの仕事が取り組めると評価されている。

 日本でも、IT分野やネット関連での新サービス構築などでの人手不足が深刻化しているだけに、こうしたスタイルを意識して、IT企業などが経団連主催のソウル就活セミナーに参加しそうだ。

 ただ、ある日本の経営者は、韓国財界の「メンタリティー(心のあり方)」を疑問視する。

 韓国の財界人として自国の経済成長や発展を意識すべきなのに、人材の流出をいとも簡単に認めようとするからだ。「自国で新たな産業やイノベーションを起こすことをあきらめているようにみえる」との指摘もある。

 韓国の就職状況は昔から問題になっていた。サムスン、LG、現代、SKの4大財閥グループの資産規模は、韓国の国内総生産(GDP)の約6割を占めるとされる、その分、韓国経済の財閥への依存度は非常に高く、有力な中堅・中小企業が十分育っていないことの裏返しでもある。その上、4大財閥グループに就職できるのは一握りに過ぎない。
以下ソース
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/171201/mca1712011157014-n1.htm