公務員によるたばこ休憩に関しては、その間の給与が税金で賄われていることになり「税金の無駄遣い」という別の議論も起こっています。

横浜市では2016年、「市職員の喫煙者約4000人が1日35分のたばこ休憩(移動時間含む)を取った場合、年間で約15億4000万円の損失になり、時間にして計19日間休んだことに相当する」という試算が予算特別委員会局別審査において市議によって提示され、波紋を呼びました。市職員の勤務時間中の喫煙に関しては、休息の一部として度が過ぎていない限り認める自治体が依然として多いものの、禁止する自治体は増加傾向にあります。

就業時間中において、会社が喫煙を禁止するルールを設けること自体は、職務専念義務もあり、違法ではありません。たばこ休憩を認める場合でも、1日の回数を設けることは可能です。

一方、本来の「休憩時間」は、自由利用の原則がありますので、本人の休憩時間までも禁止することは難しいといえます。ランチタイムの一服でリフレッシュされる方もいるでしょうし、同僚とのコミュニケーションを図るために必須と考えている方もいるでしょう。ただし、他の社員にも悪影響を及ぼすような場合は、休憩時間であっても職場内における喫煙を禁止することは可能です。

言うまでもなく喫煙はさまざまな疾病の危険因子です。従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」を経済産業省が企業に促していることもあり、禁煙を呼びかける企業の動きは加速していくものと思われます。

社員が健康になれば、生産性の向上や企業のイメージアップ、社会保険料の削減など経営面のメリットも多くあります。企業においては、禁煙に向けたサポート策をはじめ、健康への取り組みがますます求められていくでしょう。
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