国税庁は13日、今年6月までの1年間(2016事務年度)に全国の国税局などが実施した相続税の税務調査の結果を発表した。申告漏れ総額は3295億円と15事務年度比9.7%増加、追徴税額も716億円と22.8%増えた。海外資産に関連した調査件数は917件と集計を始めた01事務年度以降で最多だった。

 14年に発生した相続事案が調査の中心。1万2116件が対象となった。このうち約8割で申告漏れなどが指摘された。申告漏れがあった財産のうち、現金・預金などが約1千億円を占めて最多だった。

 資産運用の国際化などを背景に国税当局は海外資産に関する調査を重点的に実施している。海外資産に関連した申告漏れは52億円と15事務年度比で12%増えた。北米やアジアに持つ資産を適正に申告していない事例が目立った。

 東京国税局が手掛けた事案では、海外の金融機関に預金を保有していたが、相続税の申告から除外しており約3500万円の申告漏れが指摘された。このケースでは租税条約などに基づいて海外当局と情報交換を実施した。

 15年からは相続税の基礎控除が縮小され対象者が大幅に増えた。今後、国税当局による同年の調査が進む見通し。

 贈与税の申告漏れ総額は1918億円と15事務年度の195億円から大幅に増加した。大規模な贈与に関する申告漏れが影響したとみられる。

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