中身スカスカの“狂騒”だ。日経平均株価が9日、25年10カ月ぶりに一時2万3000円を突破。内閣府も8日、9月の景気動向指数の基調判断を「改善を示している」とし、景気拡大は58カ月に達した。

 戦後2番目に長かった「いざなぎ景気(57カ月)」を超えることが確実になったことで、テレビや新聞は大騒ぎだが、ちょっと待って欲しい。景気がいいのは一握りの大企業で、中小零細企業はバタバタ倒れているのだ。

 民間の信用調査会社「帝国データバンク」の調べによると、東京都内の10月の企業倒産件数は前年同月比8.9%増の147件。9カ月連続で前年を上回っている。

 大企業の景況感が上向く一方、中小零細のサービス業の倒産件数は前年同月比1.5倍の51件。小売業も同12・5%増の27件に上った。規模別では、負債総額1000万〜5000万円の小規模倒産が108件を占める一方、負債50億円以上の大型倒産は一切なかった。

「慢性的な消費不振が原因で、大企業はサービスや商品の低価格路線にシフトしています。しかし、小規模なIT企業や飲食店、小売店などは体力がないため、その流れについていけず、倒産に追い込まれていくケースが多く見受けられます。今後も同様の傾向が続くとみられます」(帝国データバンク担当者)

■業績好調なのは一部の大企業だけ

 具体的には、スマホアプリなどを開発する零細企業や広告代理店、町の定食屋や中小規模のスーパー、美容院などが倒産に追い込まれたという。経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。

「一般家庭のサラリーマンの賃金が上がっていないのですから、飲食店や小売店が倒れていくのは不思議なことではありません。この4年で大企業の内部留保は100兆円も増えました。結局、業績好調なのは一部の大企業だけです。株価についても、相場を日銀とGPIFが下支えしている上に、外国人投資家が買いに走っている状態。日経平均が1日で数百円も上下していますから、“ギャンブル相場”の様相を呈しています。株価高騰は、実体経済を反映したものとはとてもいえません」

「いざなぎ超え」なんて中小零細にはまるで無関係。安倍政権が大企業しか見ていないから、偽りの景気判断が続いているだけだ。
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