仮想通貨ビットコイン(BTC)も、2017年以降急ピッチで値を上げ、11月に入り1BTC=7000ドルの大台を突破するなど、投機的な値動きを警鐘する声も上がっている。さらに、分裂騒動も発生し、ビットコインゴールド(BTG)が誕生するなど話題に事欠かず、市場での存在感は増すばかりだ。

そのビットコインの市場規模は14兆円(ビットコイン時価総額を1230億ドル、1ドル114円で計算)を超え、ビットコインに対して懐疑的な各国の中央銀行なども、もはや無視できないほどの広がりをみせている。拡大の一途をたどるビットコインの市場規模だが、グローバル企業の時価総額に相当させるとどの程度の水準になるのか検証してみよう。

ビットコインの市場規模は1230億ドルを超え、1ドル=114円の為替レートで換算すると、約14兆220億円に相当する。日本企業の時価総額と比べてみると、武田薬品 <4502> 、ファナック <6954> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> 、キヤノン <7751> の各企業の時価総額は5兆円台。日本を代表する名だたる企業だが、ビットコインの市場規模と比較すると、時価総額は半分程度の水準にとどまる。(株価は2017年11月8日終値時点、以下同)

時価総額がその上の6兆円‐8兆円の水準に名を連ねるのは、任天堂 <7974> 、ホンダ <7267> 、ゆうちょ銀行 <7182> 、三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、JT <2914> 、キーエンス <6861> 、KDDI <9433> だ。このうちKDDIの時価総額は東証1部の時価総額ランキングでは7位に相当しているが、トップ10の一角をしても、ビットコインの市場規模には及ばない。

さらに上位の企業をみると、三菱UFJフィナンシャルグループ <8306> が、5位となる約10兆6666億円となっている。4位に位置するNTTドコモ <9437> でも約10兆9870億円の時価総額で、ビットコインの市場規模を下回っているのが現状だ。ビットコインの市場規模を上回る時価総額となったのは、日本国内ではトヨタ自動車 <7203> の約23兆6697億円、1社のみだ。

ビットコインが誕生して10年も経たないうちに、その市場規模は、世界の自動車メーカーのトヨタの時価総額の半分に迫るまでの勢いを見せる。

スタバ、ナイキを上回り、次なるターゲットはマクドナルド
日本国内企業にとどまらず、グローバル企業の時価総額とビットコインの市場規模を比較すると、世界的なブランドに引けを取らないビットコインの存在が浮かび上がる。PwCのレポート「Global Top 100」によると、2017年3月末時点でのグローバル企業の時価総額ランキングトップ100にランク入りしたのは、その額が880億ドル(約10兆円)以上の企業だった。ビットコインの足元の市場規模は、このトップ100の仲間入りを果たしたことになる。

実際に、ビットコインの市場規模1230億ドルは、世界的なブランドを誇る企業にも引けをとらない。コーヒーカフェチェーンをグローバルに展開するスターバックスの時価総額は約818億ドル、スポーツブランド・Nikeは約900億ドル、米金融大手のゴールドマン・サックスは約930億ドルと、ビットコインに後塵を拝する格好となった。

飛ぶ鳥を落とす勢いを見せるビットコインの次なるターゲットともなる時価総額が1300億ドル(約14兆8200億円)を超える企業には、マクドナルド(時価総額1326億ドル)、ボーイング(同1580億ドル)などのグローバル企業が立ちはだかる。しかし、ビットコインのこれまでの市場規模拡大のスピードからすれば、これらの老舗グローバル企業の背中が視界に入ったといっても過言ではないだろう。

欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁がその荒い値動きに対し、ビットコインの通貨としての役割に疑問を呈するなど、仮想通貨に懐疑的な見方がまだまだ根強い一方、その存在感は、市場規模の拡大からも明らかで、その額は誰もが知るグローバル企業の時価総額にも引けをとらないほどの水準まで肩を並べるようになってきている。この勢いはどこまで続き、ビットコインに対する見方がどのように変化していくのだろうか。(ZUU online 編集部)
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