イギリスの中央銀行イングランド銀行は、国内の物価の上昇傾向が想定以上に強まっているとして、過去最低の水準に抑えてきた政策金利を10年ぶりに引き上げることを決め、世界の中央銀行の間で金融政策を見直す動きが広がっています。
イングランド銀行は、金融政策を決める会合で国内の景気や物価の見通しなどについて協議した結果を、2日、発表しました。

それによりますと、国債などを買い入れて市場に出回るお金の量を増やす量的緩和の規模を維持する一方で、政策金利を過去最低の0.25%から0.5%に引き上げることを決めました。これはイギリスが去年6月にEUからの離脱を決めたあと、通貨ポンドが下落し、その影響で輸入品が値上がりし、9月の消費者物価指数が2.8%上昇するなど物価の上昇傾向が想定以上に強まっているためです。

今回、政策金利を引き上げた背景には、金融政策を引き締めることで、国内の物価を安定させようという狙いがあるものと見られます。イングランド銀行が利上げに踏み切るのは、景気の過熱によるインフレが懸念されていたリーマンショック前の2007年7月以来10年ぶりのことです。

世界の中央銀行では、アメリカやカナダがすでに利上げに踏み切っているほか、ヨーロッパ中央銀行も先月26日、量的緩和の規模を縮小することを決めていて、金融政策の見直しにかじを切る動きが続いています。
英中央銀行総裁「物価目標維持で利上げ」
記者会見したイングランド銀行のカーニー総裁は、10年ぶりに利上げを決めた理由について、「利上げをしなければ、物価の上昇率を目標とする2%に保つのが難しい。経済が堅調なことから、利上げすべきタイミングだと判断した」と説明しました。

一方で、カーニー総裁はイギリス経済にとってEUからの離脱を決めたことによる影響は大きいとして、「今後の利上げのペースは緩やかで限定的にとどまる」と述べ、今後の金融政策は経済の状況を見極めながら慎重に検討する考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171102/k10011208991000.html