安倍晋三首相は26日の経済財政諮問会議で「賃上げは企業への社会的要請だ。3%の賃上げが実現するよう期待する」と表明した。企業を後押しするために「予算、税制、規制改革とあらゆる政策を総動員する」との考えも示した。首相が労使が議論する賃金について数値目標を示すのは異例だ。

民間議員として出席した経団連の榊原定征会長は会議後、記者団に「労働分配率の低下や現預金の水準を踏まえて前向きに検討したい」と答えた。企業収益の向上や現預金の増加を受けて賃上げに取り組むと語った。3%という水準に関しては「企業ごとの収益を踏まえて対応する」と指摘。実現が難しい企業もあるとの認識を明らかにした。

 アベノミクスは賃上げで消費を増やし、物価を押し上げてデフレから脱却する好循環を目指している。定期昇給分を含めた賃上げ率は近年2%程度にとどまっており、物価上昇分を差し引いた実質賃金は伸び悩んでいた。景気の好循環のためにはさらなる賃上げが必要だと判断した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22749840W7A021C1MM8000/