福岡市の人口が増えつづけている。人口増加率では政令都市のなかでダントツで全国1位い。海外誌が選ぶ「世界で最も住みやすい都市」でも、常に上位に選ばれている。そうした福岡の魅力のひとつは「コンパクトさ」。特にバス交通の利便性の高さは、ほかにない魅力となっている。鉄道やバスを中心に福岡のまちづくりを担ってきた西鉄グループの倉富純男代表に聞いた――。
世界で7番目に住みやすい街
英国のグローバル情報誌『モノクル(MONOCLE)』が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市ベスト25」で、福岡が第7位に選ばれたのは昨年のこと。この年、日本の都市でトップ10に入ったのは東京(第1位)、京都(第9位)と3都市。福岡が古都・京都よりも上位になったことでも話題となった。
http://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/2/670mn/img_9211362ac8073b7a46e31844cc7ce55d346017.jpg

福岡市は人口153万人。政令指定都市の中では第5位だが、人口増加数と人口増加率では断トツのトップ(2015年データ)。「住みやすさ」を語るうえで、これほどわかりやすい数字はないが、福岡の何がそれほどに住みよいのか。その謎を探るべく、夏真っ盛りの福岡の街に赴いた。福岡空港から地下鉄でわずか11分、福岡最大の繁華街、天神に到着した。天神1丁目に本社を構え、戦前からこの街の開発を牽引してきた西鉄グループの代表、倉富純男氏を訪ね、その理由を聞いた。

――『モノクル』の「世界で最も住みやすい都市ベスト25」において、福岡市が上位をキープしている理由をどのように分析しているか。
【倉富】福岡市の1番の特徴は、なんといっても街がコンパクトなところ。地理的に山も海も近いため、狭い平野部にいろんなものが集約されています。空港も港も都心のすぐそばにあり、狭い区画の中に行政施設から商業施設まであらゆるものが密集していて、何をするにも自転車の移動で足りるという利便性がある。住宅地も都心部から近く、「通勤に30分もかかるようなら遠い」と言われるほど職場と家が近い。これが働きやすさにも繋がっています。

加えて最近は、高島宗一郎・福岡市長が、福岡をアジアのリーダー都市にしようということで、創業支援を通じた起業家育成にも力を入れています。そうしたことが相まって、レベルアップしてきたかなと思っています。

――西鉄は、戦前から天神の街づくりを担ってきたが、どのような考え方で天神の街づくりを行ってきたのか。
【倉富】もともと天神が栄えたのは、岩田屋さんがこの地に百貨店を開業されてから。そこに新天町という商店街ができ、さらに私たちの西鉄名店街ができ……というふうに昔からみんなで一緒になってつくってきた街なんです。

みんなで街をつくるという精神はいま「We Love 天神協議会」というエリアマネジメント活動に受け継がれ、各事業者、地域住民、そして行政と連携して、一緒に議論しながらやっています。その中で当社は鉄道、バスという公共交通の分野で街の発展を支えることをミッションとしてやってきたわけです。福岡がコンパクトな街と言われるのも、交通ネットワークの密度、充実度と深く関わっていると思います。特にバスはバリアフリーな交通機関で、乗り方さえわかればこんな便利な乗り物はない。当社がバス路線網を全国1の規模にまで拡充させてきたことが、福岡のコンパクトシティ化に貢献できたのではないでしょうか。
以下ソース
http://president.jp/articles/-/23328