日産自動車の西川広人社長は19日に開いた記者会見で、完成検査の工程を全面的に見直すことを表明した。西川社長とのやり取りは以下の通り。

 ――是正をした後もなぜ不正が起こったのか。 「現場に対する徹底が抜けていた。指揮命令で課長から(ラインのチームリーダーである)係長へのコミュニケーションにギャップがあり、そこに落とし穴があった」

 ――役員や部長とのやり取りにも問題はないのか。

 「危機感を共有して経営陣の意識、会社の信用を揺るがすということを係長まで伝えなければいけなかった。課長と係長の伝わり方に差があった。(有資格者の判子を無資格者が使用する)判子の問題や資格をもっていない人間が検査をすることが組織的に常態化していた」

 ――人手不足が原因か。

 「簡単に人手不足とは言えない。資格を持った人間と持っていない人間がいる。編成上、効率よくしようと思うと(無資格者を)使いたくなる」

 ――問題が起こったのはカルロス・ゴーン会長がトップだった時期か。

 「ゴーン氏の時代に起こったのかも分からないし、これから調査する」

 ――どのような対策を講じるのか。

 「山内康裕最高執行責任者(COO)が各工場の係長を直接、指導する。資格をもった人員を増やしたい。稼働を抑えて作業の負荷を下げるほか、IDや指紋認証を使うことも検討する。資格者の判子を1つにするなど管理を強化する。20年以上変えてこなかった完成検査員の養成プログラムも見直す」

 ――経営陣の責任については。

「今の責任を確実に実行し信頼を回復することだ。現経営陣を引っ張るのが私の責任だ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22474770Z11C17A0TI1000/