「アメリカファースト」を掲げる米トランプ政権が韓国製輸出品に対する貿易制裁にさらに速度を出し始めた。洗濯機など韓国製品にセーフガード(緊急貿易制限)手続きを踏み始めたのだ。韓国の産業界は米国のこうした歩みが改定手続きを踏む韓米自由貿易協定(FTA)再協議で有利な立場を占めようとする布石とみている。セーフガード措置が現実化し、韓米FTAが不利に改定されれば韓国の自動車・鉄鋼・機械業界などは今後5年間に170億ドル規模の輸出が減り、15万4000件の雇用が減少するだろうという懸念(韓国経済研究院)も出ている。

トランプ政権の「コリアバッシング」は1月にさかのぼる。米国は1月に韓国製可塑剤(プラスチック添加物)に、2月には合成ゴムにアンチダンピング関税を予備判定した。韓国製品が不当に安値で輸出されたとみて懲罰的関税を課すということだ。その後4月にはトランプ大統領が直接韓国製など輸入鉄鋼製品に対するセーフガード調査を命令した。5月には太陽電池、6月にはポリエステル短繊維などに対するアンチダンピング調査にも着手するなど、毎月新たな貿易制裁問題が起きた。

5日に米国際貿易委員会(ITC)がサムスン電子とLGエレクトロニクスなど韓国製洗濯機の輸入により米国の洗濯機業界が被害を受けていると判定したのもこうした流れと脈を同じくする。5月に米家電メーカーのワールプールが自社の米国内シェア下落が韓国製品のせいだと提起した主張をITCが受け入れたのだ。

韓国政府と家電業界はまず19日にITCが開催する公聴会でワールプールの主張とITCの判定内容に正面から反論する計画だ。公聴会の結果は来月開かれるITC委員団投票の根拠資料となり、この投票結果により12月にトランプ大統領に提出される最終報告書の内容が決まることになる。

韓国の家電業界はワールプールが韓国製品で被害を受けたという主張に同意できないと口をそろえる。ワールプールの米国洗濯機市場でのシェアは2012年の41.8%から昨年は38.4%と小幅に下落した。しかし同じ期間に洗濯機部門の営業利益率は2012年の4.8%から昨年は6.5%に上がるなど収益性はむしろ良くなったという。

また、米国政府の韓国製洗濯機への関税賦課は米国内市場のためにも役立たないと強調した。韓国製洗濯機の価格上昇にともなう「ドミノ価格上昇」で米国の消費者だけ打撃を受けるだろうという論理だ。最悪の場合、完成品だけでなく部品別に関税が適用されればサムスン電子とLGエレクトロニクスが計画中の米国工場での生産計画も延期されるほかないと明らかにした。完成品が組み立てられる米国工場は東南アジアで生産した部品を輸入するほかないが、関税引き上げで生産原価が上昇するほかはないということだ。

韓国の家電メーカーと韓国政府の対応にも米国はどんな方式であれ貿易制限措置をするものと観測される。今回の米ITCの判定の背後にはトランプ政権の「保護貿易主義」が位置しているためだ。新韓金融投資のソ・ヒョンチョル研究員は「韓国製洗濯機に適用される現行1%台の関税率が40%台に上がれば関税率が上がる前の営業利益の10%規模の損失が発生するだろう」と予想した。

http://japanese.joins.com/article/165/234165.html