元早稲田大学教授植草一秀メルマガ・第1845号 消費税減税・撤廃政策が最重要争点である理由2017年9月15日(一部抜粋 無断コピペ)

@安倍政権は、日本経済が2012年11月を底に回復を続けており、その景気浮上期間が2017年9月で57ヶ月となり、「いざなぎ景気」を超えると主張している。

しかし、これは「虚偽」である。

日本経済は2014年1月から2016年5月までの約2年半にわたって景気後退局面を経ているのだ。 鉱工業生産指数の推移を見れば、これは一目瞭然である。

2014年1−3月期から7−9月期まで、3四半期連続でマイナス成長も記録している。

2014年に消費税増税で日本経済は景気後退局面を迎えているのだ。

しかし、財務省、日本政府は、消費税増税で日本経済が不況に転落した事実を公表することを拒んでいる。 消費税増税の実施が困難になるからだ。

そのために、消費税増税によって日本経済が景気後退に転落したという「事実」を隠蔽しているのだ。

そのうえで、日本経済が2012年11月以降、景気回復を続けていることとして、この9月に、その時間的な長さが「いざなぎ景気」を超えたとしているのである。

「いかさま景気」、「とんでも景気」そのものである。

また、いざなぎ景気が5年で73%のGDP増大を実現した景気であるのに対して、今回の「いかさま景気」では、5年間のGDP増加が7%にしか過ぎない。

高尾山に登っただけの人がマッキンリー登頂者に「俺も登った」と言っているようなものだ。

国民にとって何よりも重要な経済指標は実質賃金の推移である。


実質賃金の推移を見ると、2009年から2012年の民主党政権の期間は概ね横ばい推移を示したが、2012年12月の第2次安倍政権発足以降は、実質賃金が約5%減少している。

5%減少は深刻な数値である。  「アベノミクス」は日本国民に恩恵をもたらしていない。 苦しみを与えているだけである。 恩恵を受けたのは一握りの大企業だけだ。

上場企業の収益は史上最高を更新し、その結果として株価は上昇した。 しかし、東証第1部上場企業数は約2000社。日本の法人数の0.05%にも満たない。

この大企業の利益だけが膨張して、労働者の取り分が大幅に減少したのである。

たしかに、就業者は増加し、失業率は低下したが、労働者全体の取り分が大幅に減少するなかで、その減少した取り分を分け合わなければならない人数が増えただけのことだ。

一人当たりの所得は大幅に減少したのである。

そして、税の構造変化を見てみよう。 消費税が導入されたのが1989年度で、この年の税収は54.9兆円だった。

2016年度の税収は55.5兆円で、1989年度とほぼ同額である。

税収の構造を見ると、

1989年度は

所得税21.4兆円
法人税19.0兆円
消費税 3.3兆円  だった。

これが2016年度には、

所得税17.6兆円
法人税10.3兆円
消費税17.2兆円  になった。

つまり、所得税が4兆円、法人税が9兆円減って、消費税が14兆円も増えたのだ。

税収全体はまったく同じだ。 これが日本の税制改革なのである。