マツキヨが3位転落?ドラッグストア「戦国時代」の行方 : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 1/6
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2017年07月19日 05時20分 無断転載禁止

 ドラッグストア業界で22年間にわたり売上高で業界1位を誇っていたマツモトキヨシホールディングス(マツキヨ)が、
2016年度の売上高でイオン系のウエルシアホールディングス(HD)、「ツルハドラッグ」を展開するツルハHDに抜かれ、
3位に転落した。背景に何があったのか。店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、
年々激しさを増すドラッグストア業界の競争の行方について解説する。


首位陥落、一気に3位へ

 ドラッグストア「マツモトキヨシ」を運営するマツモトキヨシHDが業界首位から3位に転落した。

 2015年度、マツキヨは売上高で5360億円と業界首位を維持していた。しかし、16年度は売上高が前年度比で微減となり、5351億円にとどまった。「骨太の企業体質にするために体質改善を優先した」(広報)。実際に16年度には約90店を閉鎖、50店を改装した。そのため、約100店を新たに出店したにもかかわらず、「相殺」された形で売上高が伸びなかったというわけだ。

 マツキヨに代わって首位に立ったのは、イオン系のウエルシアHDだ。16年度の売上高は前年度比18%増の6231億円。マツキヨを抜いて首位に立った。さらに、ツルハHDもマツキヨを超えた。16年度の売上高は前年度比9%増の5770億円。ウエルシアには及ばなかったものの、業界2位に躍り出た。その結果、マツキヨは3位に転落した。

イオン主導のM&Aで「戦国時代」に?

 ドラッグストア業界の勢力争いは混沌としている。「戦国時代」と言ってもいいだろう。わずか70億円弱の差でサンドラッグ(5283億円)がマツキヨを追って4位につける。さらに、九州を地盤とするコスモス薬品が5027億円で5位。ウエルシアが頭一つ抜けているものの、マツキヨを含む業界1〜5位のドラッグストアが約1200億円の間にひしめき合っている。今後、どのストアが覇権を握るのか、誰にもわからない状況といっていい。

 ウエルシアは15年度から16年度にかけてハックドラッグを運営するCFSコーポレーションや、兵庫県が地盤のタキヤ、京都府内でドミナント(地域集中出店)戦略を展開していたシミズ薬品を完全子会社化や吸収合併するなどして業界再編を進めた。

 その結果、14年度には1919億円に過ぎなかった売上高が、15年度には一気に5284億円まで増えた。そして16年度、ついにマツキヨを抜いて業界首位に躍り出たのだ。

 それにしても、なぜウエルシアは各地で次々にM&A(企業の合併・買収)を仕掛けているのだろうか。

 一つはグループの「総帥企業」であるイオンの経営事情が関係している、と筆者は考える。イオンは16年度の売上高が8兆円を超える流通最大手の巨大企業グループだ。ただ、売上高こそ大きいものの、利益面は必ずしも好調ではない。本業のもうけを示す営業利益は1847億円で、営業利益率はわずか2%強。ライバルのセブン&アイHDの営業利益3645億円と比べて半分程度に過ぎず、営業利益率でも大きく下回っている。

 イオンはかつて赤字を垂れ流していたダイエーを13年8月に子会社化し、15年1月には完全子会社とした。その頃からイオンの利益率は悪化していったのだ。営業利益率は、11、12年度はそれぞれ3%台だったが、13〜16年度は2%台に低下した。イオンはダイエー以外の総合スーパー(GMS)事業でも苦戦を強いられている。そういった事情もあって、事業の多角化で利益を確保する必要に迫られているのではないだろうか。
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