会社の生産性を向上させたい? ならば「理系人間」を雇うべし。

 従業員に占める科学者やエンジニアの割合が高い企業は、そうでない企業よりも生産性が高く、しかもそうした専門技能者が研究開発(R&D)部門に直接関わっていない場合でも、同様であることが新たな研究で分かった。

 製造工場を対象に全米経済研究所(NBER)が行った研究によると、従業員の10%が科学者やエンジニアである工場は、従業員数は同じでも専門技能者がゼロの工場に比べて生産性が4.4%高くなる傾向があった。生産性を測る尺度として使われたのは、新技術への投資や技能の高い従業員の採用状況の改善具合だ。

 民間の科学者やエンジニアのうち約80%はR&D部門に属しておらず、情報技術(IT)や運営部門に携わっている。彼らの専門知識や他の従業員に対して行う研修は、企業が業務手順を向上させたり、壊れたシステムを修復したり、新たな技術を導入したりする際に非常に重要であると、今回の研究論文の共同執筆者リチャード・フリーマン氏は指摘する。

 組織が会計や人材システムを変更したり、新たな製造手順を導入したりする際に、「指揮棒を振って『さあ今からこの方法で運営する』と言うだけではうまくいかない」。ハーバード大学の経済学者フリーマン氏はそう話すと、さらにこう続けた。「(組織には)決定を下す人や、うまく運営させる方法を見つける人が必要だ」

 この研究の共同執筆者はほかに、ノルウェーにある社会研究所のアーリン・バース氏、米国勢調査局のジェームズ・デービス氏、ハーバード・ロースクールで労働とワークライフに関する研究を行っているアンドリュー・ワン氏。彼らは科学者やエンジニアたちがR&D部門以外でどういう影響を及ぼしているかに関心があった。

 1992年から2007年に製造会社から収集した従業員と製品に関するデータを分析した結果、R&D以外の部署にも科学者やエンジニアたちが価値をもたらしており、そうした価値は彼らによる他の従業員へ研修からきていることが分かったとフリーマン氏は指摘する。

 例えば、工場内での空調を直す必要がある際には、「空気の流れや適切な計算式、既知の基本原則について知識のある人材が必要だ」と話した。
http://jp.wsj.com/articles/SB10694688242023964151104583258712381208262