雪だるま方式で膨らみ続ける日本の国の借金とは対照的に、日本人は世界的にみても熱心に貯蓄に励む国民だ。総務省がまとめた家計調査(2016)によると、2人以上の世帯の貯蓄の平均値は1820万円に上る。前年から15万円ほど増加し、4連連続で前年比プラスとなった。一方、負債に関しては平均値が507万円で、その内訳はマイホーム取得のための住宅・土地のためのローンが大多数を占める。

貯蓄から負債を差し引いた純貯蓄額の全国平均は1313万円となるが、都道府県間の平均所得の差や貯蓄に対する地域性の差によって大きな差が表れた。せっせと蓄えを増やしている人はどの都道府県に多いのだろうか。

純貯蓄額がトップとなったのは、神奈川県で2485万円だった。同県は貯蓄も2998万円と全国で最も高く、負債を差し引いた純貯蓄額全体を押し上げた。神奈川県は賃金も全国的にも高く、厚生労働省の賃金構造基本統計によると、賃金水準は東京都に次いで2番目に高い水準となっており、高い賃金水準が貯蓄をけん引する要因の1つとも考えられる。しかし、同統計で賃金水準が最も高い東京都は、純資産額1565万円と神奈川県に1000万円近い差を付けられ、全国10位にとどまる。

神奈川県に次いで純貯蓄額2位となったのは、2118万円の奈良県だった。同県の貯蓄は2475万円とトップの神奈川県に500万円以上の差を付けられたが、それでも純貯蓄額と同様に全国2位の水準で、さらに、負債が357万円と全国的にも低い水準にとどまることから、差し引きした純貯蓄額も高水準となった。3位には兵庫県が純貯蓄額2013万円で続き、トップ3は2000万円の大台を突破した。また、三大都市圏のうち、近畿圏は、京都府が純貯蓄額1622万円で9位に入るなど、トップ10のうち3つを占めた。

トップ5のうち残る4位は純貯蓄額1913万円の千葉県、5位は同1821万円の栃木県と関東勢が存在感を示した。千葉県は東京都内への通勤圏内だが、住宅価格が東京都内、神奈川、埼玉両県より相対的に安いため、負債額が476万円と低い。一方、埼玉県は貯蓄額では2304万円と千葉県(2389万円)とそれほど差異はないものの、負債額が676万円と千葉県より200万円も多いことが響き、純貯蓄額ランキングでは8位と千葉県の後塵を拝した。

このほかトップ10の顔ぶれは、6位に純貯蓄額1712万の愛知県がランク入りしたが、中京圏からは唯一のトップ10入り。7位は純貯蓄額1705万円の岡山県となった。

最も純貯蓄額の低い県は、神奈川の8分の1
一方、純貯蓄額が最も低かったのは沖縄県。その額は297万円とトップの神奈川県の8分の1の程度にとどまる。賃金が全国的にみても低い水準にあることに加え、持ち家所有率も低い。マイホーム取得に向けて貯蓄を積み上げるより、割安な物件を賃貸で利用する傾向もあり、貯蓄が増えない要因として働く。沖縄に次いだのは青森県で純貯蓄額は424万円。同県の貯蓄額は785万円にとどまり、沖縄と青森の両県のみが貯蓄額が1000万円を下回った。

47位 沖縄 297
46位 青森 424
45位 大分 530
44位 宮崎 585
43位 北海道 639
42位 秋田 743
41位 熊本 790
40位 長崎 794
39位 福島 860
38位 福岡 1016
37位 群馬 1032
36位 山形 1035
35位 宮城 1039
34位 岩手 1043
33位 茨城 1088
32位 山梨 1091
31位 富山 1098
30位 佐賀 1103
29位 徳島 1105
28位 福井 1122
27位 鹿児島 1127
26位 愛媛 1177
25位 長野 1178
24位 新潟 1183
24位 島根 1183
22位 三重 1193
21位 山口 1205
20位 大阪 1248
19位 鳥取 1263
18位 和歌山 1272
17位 岐阜 1277
16位 滋賀 1313
15位 石川 1356
14位 静岡 1370
13位 高知 1404
12位 香川 1453
11位 広島 1494
10位 東京 1565
9位 京都 1622
8位 埼玉 1628
7位 岡山 1705
6位 愛知 1712
5位 栃木 1821
4位 千葉 1913
3位 兵庫 2013
2位 奈良 2118
1位 神奈川 2485
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