下の表は、過去6年間の供給戸数を合計したものだ。「住まいサーフィン」で新築時価や儲かる確率を計算し始めてから、すべての物件を合計した結果である。上位7社は以下のようになり、これらの会社は自らを「メジャー7」と名乗っている。

 供給戸数は全体の43%なので、自動車や携帯電話のように寡占市場ではないのが、不動産市場の特徴である。とはいえかなりのシェアを占めており、強い影響力を持っていることがわかる。 
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住まいサーフィンでは、「沖式新築時価」という名称で新築の適正価格を査定している。その中で、売主ごとに相場との価格差を算定し、補正している。メジャー7は相場よりやや高い価格設定をしている。それはブランド力であり、販売力でもある。平均して5.4%ほど高いので、そのブランドに魅力があれば許容範囲の価格設定だろう。

 なかでも一番割高なのが住友不動産で、竣工しても価格を下げずに長期で販売する手法を取っている。その他の売主は「青田売り」という、竣工前にすべて短期で売り切る手法に徹している。原則、マンション開発事業は資金を借りて土地を買い、建物を建てて、早期に売却を済ませたいという事業構造なので、販売期間が長引いたり、竣工後も売り続けることを好まない(もしくは金融機関から許されない)傾向が強い。
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このように相場よりも高くできるのは、ブランド戦略を展開しているからである。各社のブランドは以下のようになる。

・住友不動産……シティハウスなど
・東京建物……ブリリア
・野村不動産……プラウド、オハナ
・大京……ライオンズ
・三井不動産レジデンシャル……パークホームズ、パークコートなど
・三菱地所レジデンス……ザ・パークハウスなど
・東急不動産……ブランズなど

 しかし、このブランド戦略は最近10年で盛んになったもので、歴史は意外と浅い。以前はネットが普及する前だったので、「押し売り」が横行していた。物件の掲示板には多数の苦情が書き込まれるようになり、「押し売り」から「ブランド戦略」に移行したのである。

メジャー7の価格は相場に対して、平均して5.4%高かった。しかし、割高でもそれだけの価値があるなら、問題ないはずだ。問題になるとしたら、中古になって大きく値が下がることなので、中古になった際にいくらになったかを比較検討して検証しよう。

 それを表すのは「中古騰落率」で、新築からの値上がり幅を指す。そのメジャー7の加重平均値は9.1%で、全体平均の6.2%を3%ほど上回る。メジャー7の物件は値上がりしやすいのだ。

 ちなみに、メジャー7以外の平均は4.8%と低い。この差だけでも、仲介手数料(3%)以上の差が付いていることになる。中でも三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは10%以上値上がりしていて、物件を売るときに困ることが少ないと想定される。

それは中古での価値の高さと、ブランドに対する安心感の賜物かもしれない。売主が財閥系である安心感に加え、実物を見て判断する中古市場では、図面だけで決める新築よりも仕様の良さが際立つのかもしれない。

 しかし、売主としてこれは嬉しくない数字かもしれない。中古での市場価値がそれだけあるにもかかわらず、新築時には割安で売っていることになるからだ。とはいえ、当連載はマンションの買い手のためのものなので、そこに言及することはやめておこう。
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