ロサンゼルスやサンフランシスコ、サンディエゴといった大都市があり、シリコンバレーという世界に名だたるIT企業の一大拠点も有するカリフォルニア州は、全米の中でも裕福なイメージが強い。だから、同州の18〜34歳人口の5人に2人は実家暮らしをしている−というデータをみたときは正直驚いた。

 平均39万5000円

 1980年代から2000年ごろに生まれた若者たちは「ミレニアル世代」と呼ばれる。4月に公表された米国勢調査によると、同州のミレニアル世代は936万3171人。このうち親と同居している人は38.1%を占めており、独立して生活している人(33.1%)や、ルームメートと暮らす人(28.8%)を上回る。10年前の05年(27.9%)と比べても、10%以上増えている。

 大きな理由は、高騰する家賃にある。米住宅情報サイトによると、同州の賃貸物件の家賃は15年からの1年間で3.8%上がった。

 州内でも有数の高家賃地域として知られるサンフランシスコ市内の1ベッドルームの平均家賃は月額3560ドル(約39万5000円)。2ベッドルームだと、月額4731ドル(約52万5000円)にもなる。州全体の家賃でみても、1ベッドルームの平均は月額1750ドル(約19万4000円)だ。

ミレニアル世代の中でも若年層は学生や大学院生が多い。学生ローンもあり、高額家賃を支払う能力がないことは当然といえるが、25歳以上の同世代の収入をみても、平均年収は約2万2000ドル(約244万2200円)というから、数字の上からも実家を出ることが難しい実態が浮かぶ。

 1990年代以降の景気や物価の変動を考慮すると、同世代の収入は約10%減っている計算になるが、家賃は逆に上がっているという。

 一度は実家を出てみたものの、経済的負担が大きかったり、離婚によって生活が立ちゆかなくなったりして、実家に戻る「ブーメラン現象」も社会問題になっている。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170619/mcb1706190500006-n1.htm