年初来上昇率が約3倍に達している仮想通貨ビットコインのドル建て価格が、6日に一時2967ドルまで上昇し過去最高値を更新した。ビットコインのこれまでのボラティリティ(変動率)からすると、どこかの時点でつまずくことは避けられないように思われる。

 ビットコインを支持する人も、その可能性を必ずしも否定しない。ただ、気にしていないだけだ。

「これをバブルと呼ぶなら、今回は仮想通貨にとって3回目か4回目のバブル期にあたる」。仮想通貨の管理・決済サービスを提供する米コインベース(サンフランシスコ)のブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)はこう話す。

 ビットコイン需要の高まりは、過剰な注目と大きなボラティリティをもたらす一方で、新たな資金やアイデアや人材を呼び込んでいる。その結果、仮想通貨の世界はこれまで以上に大きく膨れあがっている。

 「これまでビットコインを聞いたこともなかった多くの人々が、いろいろと学んでいくことになる」とアームストロング氏は話す。

 アトランタに住む投資家のトニー・ホースレイさん(78)のポートフォリオは、アップルや バークシャー・ハザウェイ など安定した12銘柄で構成されている。だがビットコインの過去2カ月の急上昇に目をひかれたホースレイさんは「ちょっとしたわくわく感」を加えることを検討中だ。「この年齢にもなると、多少のリスクを取ることもできる」とし、「私の12銘柄のポートフォリオは退屈だ」と話す。まだビットコインには投資していないという。

ビットコイン関連ニュースサービスのコインデスクによれば、価格は年初来1800ドル上昇しているが、その大半は4月1日以降の上昇分だ。1日あたりの取引件数は2年前の10万件から30万件へと3倍に増えた。調査会社のコインマーケットキャップによれば時価総額は460億ドルで、昨年12月31日の153億ドルから大幅に増えた。

 それでも1兆5000億ドルにもおよぶ米ドルの流通量にくらべれば微々たるものだ。世界のすべてのビットコインを集めても、時価総額では大手銀行やIT企業はもちろん、米電子決済サービス会社 ペイパル ・ホールディングスの650億ドルにも及ばない。

「いつかはバブルがはじける」

 ビットコインの信者は、この仮想通貨がまだ発展初期の段階にあると考えている。彼らの多くはビットコインの利用が一気に拡大するような用途がいずれ見つかると確信しており、その結果として価値が上昇し続けると考えている。ビットコインの当初のプログラムでは、発行上限が2100万ビットコインとされている。発行上限に達するまで、ビットコインの乱高下は勝者と敗者を生み続ける。
http://jp.wsj.com/articles/SB11627286305521544534204583192051378872648