パナソニックは10日、次世代パネル「有機EL」を採用したテレビを同社として日本で初めて発売すると発表した。今年はソニーや東芝の参入が相次ぎ、大手3社の有機ELテレビが国内で出そろう。2020年開催の東京五輪に向けて、各社はテレビの買い替え需要に期待。価格の安い製品を持つ韓国LG電子を交えた「有機EL元年」の商戦が本格化する。

■日本勢みな韓国LGパネル…差別化へ「テクニクス」音響技術を搭載

パナソニックは「VIERA(ビエラ)」ブランド3機種で、有機ELモデルを6月16日に発売する。2015年から欧州で有機ELテレビを売っているが、国内向けには販売していなかった。

3機種は、フルハイビジョンの4倍の解像度がある4Kに対応。米ハリウッド映画関係者からも意見を聞いて、多彩な色を表現できる高度な画像処理性能を備えたという。同社の音響機器ブランド「テクニクス」の技術を採用し、クリアな音響にこだわった機種も投入する。

これまでは国内の有機ELテレビ市場はLG電子がほぼ独占していたが、今年は日本メーカー3社が参入。東芝は3月8日に「レグザ910Xシリーズ」、ソニーも「ブラビアA1シリーズ」として有機ELモデルを6月10日に発売する。国内3社は、投資コストを抑えるため、パネル部品については自社生産をせず、LG電子から調達。そのうえで、独自の画質処理や音響技術を加えて、性能を高める戦略をとる。

ただ、販売面で日本勢は厳しい競争を強いられそうだ。平成27年から日本での販売を始めたLG電子の有機ELテレビの市場価格は下落しており、ヨドバシカメラマルチメディア梅田(大阪市北区)では、55型で36万円前後(税込み)で販売される製品もある。同じ型で74万7980円(同)で売られている東芝製品の半値の水準だ。

パナソニックとソニーが発売する有機ELテレビの市場想定価格(税抜き)は55型が50万円前後、65型が80〜90万円前後。LG電子との価格差は大きいものの、パナソニックの筒井俊治事業部長は「他社にまねできない技術で、価格の安い商品に対抗できる自信がある」と話している。
http://www.sankei.com/west/news/170510/wst1705100086-n2.html